"LOVE SAVER"






#1





「無垢の尻ー!」

石橋
(タイソン・ゲイばりの猛だっしゅで)

「いやあああー!」

北川
(大ぴんち)

「いくら私立とは言え,とても高等学校の学舎の中の出来事とは思えないわな」


教室の隅で祐一

「まったくね。粕汁のアルコールで酒気帯び運転食らって懲戒処分になっちゃうセンセもいるご時世なのに」

香里

「いくら日本が男色に割と寛容な文化だと言ってもなー」


「…戦国武将じゃないんだから(本当)。自分がマトに掛けられたら,そんなに悠長なことも言ってらんないでしょーが」

「…石橋センセって,ホントに男の子の方が好きなんだね」

名雪
(気の毒げ)

「前からそんなハナシはあったんだけど,ここんとこタガが外れたかのよーよね。特に2年になってから」

「…北川がよっぽどモロツボ(だぶるみーにんぐ)だったんだろーか」

「下品よ相沢君」

睨み付けながら

「…意味が分かるお前もね」

にやにや

「…なんですって?」

先がドリル状になってる恒例のアレ装備

「超ごめんなさい」

即答

「…北川君」

七瀬さん

「…あれ,七瀬さん」

「…」

心配そう

「…」

「…ちょっとちょっと」

くい,と祐一の袖を引っ張りながら

「…お,どした?」

「…ほら,七瀬さん北川君のこと…」


『察しなさいよバカ』風味

「…」

「七瀬さん,最近授業中とかよくちらちらと北川君の方見てるしねー」

「…そーいや,この間の飲み会の時も北川の横にいたっけか

「飲み会ってあんた高校生が!」

「(しまった!)あーいやいや,それでさ,結構良い雰囲気だったよーな気がしないでもなかったんで,北川に送らせてみたんだけどさ」


「…続きを聞こうじゃないの」

「結局,そのまんま部屋に送ってソッコー帰宅だったらしーぜ?」


「紳士じゃないの」

「意気地がねーだけなんだよ」

「わ,ばっさりだ」

「あんたの感覚だけでモノ言わないのよ」


「ったく,女のコにゃ興味アリアリなのバレバレだからさりげなーくセッティングしてやったのに,いざとなったら腰が引けるんだからなー」


「単に奥手なだけのような気もするけどね」

「…わ,そろそろ北川君も体力の限界だ。スピード落ちてきてる」

「…しゃーねーな。助け船出そーか」

めんどくさそうに





「はぁ,はぁ,…もー,ダメ…か…ごめん,ボクの未来のハニー…」

死にそう

「うはははは!さあ,ミスターユニバース日本3位のこのワシの鍛え抜かれた大胸筋に飛び込んでこんかーい!」

興奮度あっぷ

「…北川君」

パワフルすぎる石橋にどーにもできず臍を噛みながら





「…でも,好きな人が変なののマトに掛けられるってのもキツいよね」

「そだねー」





「そぉい!」

ものすごいクローズライン

「ぐぼぉっ!」

あまりの速攻に避けきれず直撃
(悶絶)





「あ,一撃」

「相変わらず騙し討ちみたいなのは上手いわよねアイツ」

ココイチでの強さに呆れたように

「…香里も騙し討たれたの?」

「…う…!」

「?」

「…秘密」











#2





「…ああ,酷い目にあった」

「ふふん,貴様の処女を守り通したオレに対して最大限の感謝を捧げて良いよ?」


「てっ!テメー調子に乗りやがって!元はといえばお前がソッチ系の人の掲示板に,オレのメールアドレスをイタ書きなんかするからこんな酷い目にあってるんじゃねーか!」

「あ,バレた?」

「『バレた?』じゃねーよ!一通り騒ぎが終わった後,水瀬と美坂がすまなそーにオレに教えてくれたわ!」

「ちっきしょー,あの裏切り者ども…」

舌打ちしながら

「悪いのはてめーじゃねえかよ!」

「…いやほら,せっかくこの間七瀬さんと良い雰囲気になるよーに誘導したのに,サクっとスルーしやがるからオレはまたてっきり」

「アレは突然そんなことになったんでびっくりしただけなの!…わかってたらなあ,わかってたらなあ!ソレに,だからって別にソッチ方向の趣味があるわけじゃねーわ!」

「だってお前いつも『素敵なハニーが欲しい!ドコなのオレの赤い糸?!』などとうわごとのよーに」

「『いつも』違ーう!大体ちょっと冗談で叫んでみただけじゃねーかよ!もう,いつまでも引っ張りやがって」

「ありゃ,じゃ,いらねーのハニー?きゅーてぃはにー?」

「だからソレとコレとは!」

「いらないの?!」


かわいらしい小動物のような目で

「くっ!,そ,そりゃオレも欲しいよ彼女!なんだよ,テメー自分が女に不自由してないからってオレを…」

「…いや,別にそんな不自由してないワケじゃないが」

「…美坂にナニか不満があるのかよあの美坂に!ああちきしょううらやましい!」

「ぎく」

「『ぎく』じゃないだろお前と美坂がつきあってるのバレバレなんだよ!」

「ううむ,学校では内緒にしてるのに」

「ガッコ出て角曲がって即腕組んでたりしたらソッコーバレるわ!」


「…なに,お前,その,スペランカー?」

「誰が虚弱体質か!『ストーカー』だろソレを言うなら!大体『ス』と『カー』しか合って無いじゃないか」

「怒鳴りっぱなしで疲れない?」

「…誰のせいだと思ってるんだ」

「…真っ赤に燃えるあの」


夕日を指さしながら

「120%お前やないかい!」

「ま,ソレは置いといてだな」

「置くなよ!…ところで,その美坂と水瀬は?」

「名雪は例によって部活,香里は七瀬さんと帰った」

「七瀬さんと?」

微反応

「ああ,名雪を入れたあの3人,最近よくつるんでるぜ」

意味ありげににやにや

「んでお前は振られたってワケか」

抵抗ぎみ

「ああ。先に帰るから『傷心の親友を慰めてこい』ってさ」

「親友?」

「らしいよ?」

「誰が?」

「…」


黙って北川を見つめた後,恥ずかしそうに頬を赤らめて顔を隠しながら

「顔を赤らめるな!キモいんだよ!」

「えー?!」

不満げ

「『えー?!』じゃないっ!」

「そんなわけで,友情とか愛情とか深めるためにメシでも食って帰らね?」

「なんでお前とそんなもん深めなきゃなんないんだよ特に後者。…腹は確かに減ってきたけどって,おまえ,家にゴハンあるんじゃないの?」

「そんな寂しいこと言うなよ。…秋子さん今日出張でいないのさ」

「…仕事して家事もこなすってすごいよな」


「…お前も自活だろーが。ソレこそ彼女とか居たほうがいろいろと」

「…良いなあ,彼女の手料理」

「…彼女が手料理作ってくれるとは限らないけどな」


「お,美坂ってば料理しないの?」


興味アリアリ

「…あー,まーその辺はぼちぼち…。さ,腹減ったメシメシ!」

視線を逸らしながら

「あ,ちょ!待てよ相沢!」

「ばびゅーん!」

脱兎

「…ったくもー。しゃーねーなぁ」

追走











#3





「…たまには外でゴハンってのも良いわよねー」

百花屋で香里さん

「ホントホント」

七瀬さん

「あ,デザートは今日,イチゴタルトなんだ」

「名雪ならすっごい喜ぶわねー」

「…まだ部活終わらないのね」

待ってる風に

「あ,名雪,終わったら来るの?」

「…と,思うんだけどね?今日は晩外食って言ってたし『百花屋にいるから』って言ってあるし」

「そーなんだ…ココ,パスタとかすっごいおいしーよね。スイーツ以外も」

「お財布と,あと(主にデザートのせいで)カロリー的に痛いから晩ご飯はあまり来れないのが何だけどね」


「…高校生の身には一食に4桁近い出費ってばキツいわよね。あと,美味しいんだけど,食べちゃったあとで後悔するのよねー。『一体何カロリーあったのよコレ?!』って」

「美味しいものってばどーしてこう美容とかと敵対関係にあるのかしらねー」


「ねー,…って美坂さん全然スタイルいーじゃないの!うらやましーわよ!」

香里のシルエットをさりげなくスキャンしながら

「そんなことないない,油断したらソッコー体重増えちゃうもの」

「嘘ー!ウエストだってどう見ても私より細いのに,その胸の立派なラインは反則だよー」

「な,ちょ!胸はその,あまり言わないでよ…」

両手で抱き締めるように覆い隠す仕草をしながら
(この数ヶ月でカップサイズがかなり上がってるらしい)

「…いーなあ,私も男子に『大きい』って影で噂されてみたいー」

うらやましげ

「噂?!」

動揺気味

「その,体育の授業のときとかに男子からひそひそとか」


ひそひそ話とかには結構耳ダンボらしい

「そんなことが?!」

ちょっと驚愕

「女子とかも『コレも相沢君に育ててもらってるからかしら』って」


「ゆゆゆゆ祐じゃない相沢君が何で関係あんのよ?!」


さらに驚愕
(謹直を装う表情と内面のギャップで結構面白いことに)

「…んふー,ガッコの外での睦まじい光景は何度かばっちりと拝見させていただいておりますわよ?」

にへら,っと微笑み(?)ながら

「…うっ…って,アレはホラ,途中まで帰り道一緒だしアイツすぐくだらないことばっか言うから友達として,その,教育を…」

「…した後にぎゅ,っと腕組んだりとかしてればもう妬けるやらコッチが照れるやら」

『やれやれ,困ったもんだ』と言った風に

「…えう…」

その際の祐一へのフォローに大後悔

「それにほら,相沢君来てから美坂さん,大分表情豊かになったし?」


身を乗り出し気味に

「えー,そんな!普通でしょ?」

面白いくらいばたばたと否定しながら

「いやー,私の見たところ美坂さん,二年の冬休みくらいまでは『感情がすっごくコントロールできてる人だな』って感じがすごくしてたんだけどー?」


「…」

「ここのところ結構いい感じにクダけて人前で笑ったり怒ったりするようになったじゃない」


「…う…」

「男子とかの間で『美坂,可愛い♪』って大評判なのよそれから」

ころころと悪戯っぽい笑顔で

「…うー」

照れ半分困惑半分

「んで,ソレって相沢君と一緒のご帰宅が頻繁に目撃されるよーになってからなのよね?」


首をちょっと傾げてにっこりと微笑みながら

「…ことさら,隠し立てするつもりって無かったんだけどねー」


観念風味

「わは♪やっぱりおつきあいしてるんだ」

嬉しそう

「…どちらかって言えば限りなくどつきあいに近いけどね」

「わ,そ,それってばでぃーぶい(ドメスティック・バイオレンスのことを言ってる)ってやつ?早くも倦怠期なの?」

「…ごめん,一方的にどついてるだけですー。基本的には,仲は良いのよ?」


交際状況の暴露は初めてなのでちょっと恥ずかしそう

「…わ,アツアツなんだ?」

かなり嬉しそう

「アツアツかどうかは微妙だけどねー」

ちょっと不満げ

「でも良いなー,うらやましいなー。かっこよくて面白い彼氏ってー」


「時々信じられないくらいバカだけどねー。…そんなことより,七瀬さん?」

話題転換

「うん?」

ちうー,とアイスコーヒーをストローで飲みながら

「聞いたわよー?こないだ,北川君達と飲みに行ったんだって?」

反撃

ばぴゅ!

ちょっと噴いた

「けほ,けほん…ありゃ,ばれちゃってた?」

バツ悪げ

「…ふふ。ちょっと聞いちゃった」

「…あー,やっぱ相沢君?」


「秘密ー♪だーめーよ?そーいうのはあんまりおおっぴらにやっちゃ」


悪戯っぽく笑いながら「めっ!」な感じで

「…たはー」

苦笑い

「あは。…北川君とバイト先一緒なんだって?」

「…うん,あの二人は春休みの間だけだったんだけどね?ホラ,駅向こうのコンビニで…」


「あーあーあー,アソコか。駅向こうってあんまり行かないから。特に夜は…」

「うん。んで,北川君と相沢君が夕方から夜,私が午後から夕方のシフトで入ってたんだ」

「…勤労学生って,大変ねー。北川君以下はおいといて」

七瀬さんは一人暮らしなので生活費の一部をバイトで稼いでいる由

「あはは,まあソレはもう慣れちゃってるから。コンビニの方が比較的楽に時給が稼げるしね」

「それで一緒に?」

「うん。たまたまシフト空いてたから,他に一緒に入ってるコと一緒に『たまには飲みに行こうか』って相沢君が言い出して…」

「…ほほう」

眼の奥光った

「あ,そのコは別に彼氏いるし,その日も迎えに来てたみたいだからはヘンなコトにはなんなかったわよ?」

フォロー

「…全然聞いてなかったその件については後で本人からきっちり釈明取るから」

笑顔で
(目は笑ってない)

(うっわー,ごめん,相沢君)

冷や汗少々

「…その,ほら。その後北川君と一緒に?」


興味津々,といった感じで

「…あーあーあーあー!いや!その!」



「…ずっと,一緒?」

意地悪げ

「あーいや,その,送ってもらって,『じゃ,また,明日』って…」

消え入りそうな声で
(顔真っ赤)

「…わ,七瀬さんかわいー」

凄く嬉しそうに

「そ,そんな!からかわないでよー。結構,私にしてはがんばったんだから…」

「…あ,で,いつから?」

「…あ,そ,そんな,つきあってるとかじゃ,ないから…」

「…じゃ,なくて」

「…?」

「…北川君のこと」

「…」

「…『良いな』って思ってるんでしょ?」

「…」

「…」

「…うん」

恥ずかしさで顔を伏せながら

「わ♪」

「…内緒よ?」


上目遣いで

「うんうん♪」

心の底からにっこり

「…もー」

顔真っ赤にして顔を覆った

「何よ,お互い様じゃないの!」


嬉しそうに

「…そうね,そうよね」

自分を納得させるかのよーに

「良いじゃない,彼,優しそうだし」

「うん,優しいし,かっこいいし,紳士だし,さりげない気遣いとか凄く嬉しいし」


惚気先行風味

「…気遣いとか見習わせたいもんだわねー…」

アテられ気味

「この人が彼氏だったら,良いなあ,って…」

窓の外に視線を移しながら

「……ふーん」

ほほえましげに見つめながら

「誰か好きな人居るのかなあ…」

独白気味

「…」

「…」

「…ん♪」

何か思いついたらしい

「…?」

「や,何でもないわよ?」

視線をそらせながらレモンティーに口を付けた

「…」

窓の外を見つめ直した





「あ,いたいたー」

部活終了な名雪

「やほーい」

手とか振りながら

「あ,名雪ー!」

「…ね,七瀬さん?」

声を潜めて

「うん?」

「祐…相沢君とあたしのお話はこの後はナシに,ね?」

名雪の前では控えたいらしい

「…りょーかい」

察した

「…ふっわー,おなかぺっこぺこー」

ぱたりこと着席

「ご苦労様」

「吉報よ?今日の日替わりデザはにゃんといちごだ!」


「わ!」

超嬉しそう

「しかもタルトよ?イチゴ率高めの」

「わーい!」

心底嬉しそう











#4





「ふう,良いお風呂だった」

湯上がり香里さん
(帰宅後自室)

どざあああああ

窓の外

「あ,降り出したね」

一瞥後カーテン閉めた

「さて,と。ちょっと例題集とか見ておこうかしらね?寝る前にでも」

がたたん!

軒先で

「…!」

びくっ,と

ごとん。がさごそ

「……変質者?」

バールのようなもの実装

ちゃーっちゃーちゃららーらー,ちゃーっちゃーちゃららららら♪

ケータイに着信

「…ゆう…いち?!」

専用のメール着信音に音速で

ぱち

滅多にない事態にどきどきしながらわんぷっしゅおーぷん

「キミの部屋の軒先で帰宅に失敗した哀れな小鳥が雨風をしのいでるので命に関わる暴力や当局への通報はやめてね?お願いよ?」

「誰が哀れな小鳥やねん!」

勢いよく窓を

「…いぶにんー。どしたの?インチキ関西弁で」

びしょぬれ祐一

「『いぶにん』じゃないわよ!今何時だと思ってんのよ」

「グリニッジ標準時?それともママのいるあの国の?」

「あーもう,ボケ倒しはいいから!…いいからあがんなさいよ。びしょ濡れじゃないの!」

「いやしかしこんな夜分にご婦人のお部屋を濡らすワケには」

「…いつ止むかわかんないわよ。風邪引くわよ?」

「ま,大胆♪」

両手を顎の下につけてもじもじと頬を赤らめながら

「…」

バールのようなモノ実装

「超ゴメンナサイ」

音速降参





「…で,今北川君のとこからなの?」

バスタオルを祐一に差し出しながら

「ん。弄ってたら面白くてね」

顔と頭を拭きながら椅子に腰を下ろした

「…もう,人があんまり凹んでるときにいろいろイタズラしないのよ?」

ポットからお茶を入れながら

「…」

「…」

お茶を祐一に
(ちょっと頬が赤い)

「…でも,いいのか?こんな時間に部屋に入っちゃって。入ってるけど」

ずずー,とお茶をすすりながら
(その辺を気にする程度に常識はあるらしい)

「…栞と母さんは,この時間はもう夢の中で父さんは単身赴任中よ」

「へー」

「よっぽどドタバタしない限りはだいじょぶだから」

「…」

「…」

「良かった」

「?」

「メール打っといた意味はあったわけだ」

「…びっくりしたわよ」

「アカラサマに状況不審とか思ったからしょーがないじゃん,事実…」

「じゃ,なくて」

「?」


「普段メールも電話もくれないひとからメールなんだもん。『ナニゴトかー?』と思うじゃない?」

「…むう」

「そーゆーのはもーちょっと普段からマメにしてくれたって,バチはあたんないと思うんだけどな?」

祐一の横に腰掛け,ちょこん,と口をとがらせながら上目遣いで

「そーなのか?」

「そうよ」

『困ったもんだ』風味で微笑みながら,目を閉じて祐一に顔をあずけた

「…」

ごく軽ーく,唇の先を触れあわせるよーに「ちゅ」っと

「…」

「…申し訳ない」

「…了承」

こつん,とおでこ同士を軽く合わせながら

「…」

「…」

「…っと,雨止んだね」

照れくさげに,窓の外を確認しつつ

「…」


「…」

「…」

「んじゃ,帰るわ」

にっこり

「…え,もう?」

名残惜しげ

「…秋子さんいないのに名雪を夜遅く一人でおいとくわけにもな」


「…うん…そうよね」

自分に納得させるかのよーに

「…」

「…」

寂しげ

「…また,明日な?」

ほっぺに「ちゅ」っと

「…ん…」

ほんの少し,「にこ」っと

「んでは」

「あ!」

「?」

「そだ,七瀬さんなんだけどさ」

危うく忘れそうだった本題

「おお,北川が結構その気な,あの?」

「…本当?」

タイムリーな返しにびっくり

「推論の域は出ないけどな?」

「…精度確認は可能?」


「…七瀬さん,マジなの?」

「yes」

「ふむ」

「今日帰りに百花屋でね?」

「…なるほどね」

「向けた水を飲ませちゃう程度に感触を確かめといてもらえると友人としては助かるよ?」


『おねがーい♪』な上目遣いで

「…」

「…」

「…返事は二つしかないよねコレ」

「積極的なyesと消極的なyesね?」

「…コンチキショー!」


「ふふ」

「…おーけー,じゃ,ニュートラルなyesね?」

『負けました』風味

「…こんちきしょー!」

満足げに微笑みながら

「…」

「…」

甘えるようにすりよってる

「…」

「…♪」

抱き締めた腕の指先を絡めて,とても満足げ

「……!」

接触部位(具体的には胸)のやらかさのお陰で身体の一部に超反応が

「…?」

「…お,夜半回っちまう」

ごまかすよに時計を確認しながらそそくさと立ち上がる

「あ」

「…んじゃ,な?」

「…うん」

「…」

外に出た

「…」

「…」

『おいでおいで』と手招き

「…」

とたぱたと窓際へ

「…ホントはな?」

窓越しにも一度

「…」

「ちゅ」っと

「…」

「…」

「…理性に自信が無い」

バツ悪げに

「?」

「そのカッコのお前と,もーちょっとでも一緒にいたらお前の家族に通報される事態になりかねない」

ウインクをしつつボディラインを目でなぞりながら

「!」

がばっ,と胸を押さえつつぼん,と顔が真っ赤に
(部屋着の下はのーぶら)

「わはは!んじゃまた!」

小雨の中を脱兎で

「もう!バカー!」

ぷんすか



一度だけ振り返って投げキッスの仕草をした後,また走り出した

「…バカ…」

バスタオルを抱き締めながら











#5





「はひー」

翌朝の教室で息を切らせながら祐一

「おー,本日もタイムトライアルごくろーさん」


いつも割と早めな北川

「ぜえ,ぜえ,…例によってコイツが起きなくてさー」

「いつもぎりぎりみたいに言わないの!…大体誰のせいだと思ってるんだよ」


ランニングで完全に目が覚めた名雪さん

「なにー?!オレはちゃんといつも通りに起きたぞー?!」

「祐一がなかなか帰ってこないからいけないんだよ!」

船をこいだりテレビの音に引っ張られたりしつつリビングで粘ってた

「ソレはコイツが悪い」

ビシッ!っと北川を指さしながら

「何でだー?!」

抗議

「北川君ったら激しくて,なかなか帰してくれないんですもの」


顔を赤らめながらいやんいやんしてる

「あ!て!テメエ!自分で人んちの中さんざんかき回しておきながらそゆコト言うのか!」

確かに激しく抵抗した
(実際にエログッズとか探索されて大迷惑)

「失礼な!オレには野郎の中をかき回すとか,そんなモー○ーな趣味は無い!」

「故意に聞き間違うなよ!オレにだってそんな趣味無いわ!」


「昨日のはプレイの一環ではなく?」

「だーかーらー」



「………」

七瀬さん
(やりとりを耳ダンボで)

「はいはい,あんた達,うるさい!そろそろそんな趣味の担任のHR始まるわよ?」


クラス委員香里さん

「…うう,やだなあ」

「悪いのはわたしじゃないよねー?」

祐一の裾をくいくいと

(ちっ!ごまかしきれなかったか)

視線をそらせながら

「ねー?」

「…二人とも始まるわよ?」

「後でな」

コレ幸い

「ぶー」

不満げ










「今日のBランは結構当たりだったねー」


食堂から帰還(昼食の)

「Aはイマイチだったわ。何かミョーにお魚ぱさぱさだったし」

「でもプチパフェがおいしそーだったじゃない?」

「うん,すっごく!」

「そーいえば来週からデザ,ダブルなのね?名雪は」

「うん♪」

満足げ

「…うう,酷い目にあった」

「あ,帰ってきた」

本日はコンビニ弁当

「うう,カレーとか食べたいよー。Aランじゃ少ないよー」

来週はずっとAランチ固定らしい
(そしてデザートは名雪に)

「…まあ,諦めるんだな?何というか,来週一杯」

「…うう…」

(…ほら,ミッション開始!)

祐一を肘でちょっと小突いた

(…うう,厄日だ…)

(昼休み終わるわよ?)

「…うおーい,北川,ちと一服点けにいかはう?!


足を思いっきり踏まれた

(タバコは置いていきなさいよ!もう!!)

「…な,何だ?!」

「あだだだ,と,とにかく出ようかココには鬼が」

「なんですって?!」

ツノ出てる

「ごみぇんなすわい!」

脱兎

「お,おい,待てよ!なんだかワケわかんないぞ?!」

追走










「ああ,酷い目にあった」

何とか屋上に

「何つーか,お前も懲りないよな」

マルボロ(赤)を差し出しながら

「なんでだよ,いつもどーりにやってるだけなのに」

素直に礼を言って受けとり火を付けた(自分のは香里に没収された)

「友達時代とは違う,ってことじゃないのか?ん?」

遠い目

「くっ!北川の分際で知った風なことを」


「悪かったな!」

「くっ!童貞の分際で知った風なことを」

「ちょ,超悪かったな童貞で!…んで,なんだよハナシって?」

「ハナシ?」

「んだよ,その為に呼び出したんと違うの?」


ふて腐れ気味

「おーおーおーおー」

ぽむ,と手を叩きながら

「…ったく」

「そーそーお前,今週末は何か予定ある?」

「家でごろごろしたり街をぶらぶらしたりで超多忙なんだが」

「…クラスの女のコ達と遊びに行くハナシが出てて『北川君はどうかな?』とかお伺いを立てられてのお誘いだったんだがそゆコトなら仕方がないので断っとくね?」


「おかげさまで今超暇になった」

「無理すんなよ」

「全然無理してないよ?」

棒読み

「オレ一人で両手に花を堪能できる良い機会なのでこのハナシは是非なかったことに」

「相沢あ〜!」

「悩ましい声出すなよ。録音したら石橋に高く売れるかな」


「超ゴメンナサイ」

土下座

「…最初からフツーに答えろやこのガキが」

胸倉を掴みながら
(超怖い顔で凄んでる)

「す,すみません!」

気圧されてる
(涙目気味)

「…ったく,手間とらせやがって。で?!」

「は,はひ,暇です超暇ですだからお供させてくださいませ相沢様」


「素に戻れよいい加減」

「はあ,はあ,死ぬかと思った」

「んー,待ち合わせは土曜の昼前ってのは,どだ?」

意に介さず

「…そりゃ,暇だからいつからだっていーけどさ…ところで,女のコって,マジ話?」


「貴様ごときを喜ばす理由はないので冗談にしたいところだが,残念ながら」


「良くやった相沢!」


握手を求めながら

「一人は香里なんだが」

「むう,飲酒喫煙が見込めなくなったのは残念だが美坂は美人だから許す!」

「…んで,もう一人は七瀬さんな?」

「…七瀬さん?」




「うん,先週から『リトルバスター』やってるんだが,今度の土曜ってば『映画の日』だろ?」

「あ,そーいえば」

「『高校生以下4人で3000円』なんだわ。んで,名雪が部活でダメなんでもー一人欲しいな,と」

「おお!」

「んで,その後メシ食って遊びに行こうというハナシになり」

「でかしたぞ相沢!!」

手を取ってぶんぶんと

「…何を期待してるのか知らんがとりあえず決定事項はソコまでだぞ?」

「いいんだよ!なんかこう,ダブルデートのような…それだけでも楽しいじゃないか?」


「ほほう,デートとぬかすか?」

「だって,この間みたいな急な飲み会とかじゃなくて,こうね?ちゃんとしたデートみたいな…」

「…お前,そういうのが好みだったんだな」

「良いじゃないかよ」

「何ならオレと香里は映画の後さりげなく消えようかしらね?」

「……」

祐一の袖にすがりついて涙目でぶんぶん首を振りながら

「なんだうっとおしい」


「…女のコと二人きりなんてそんな,オレは一体どーしたらいいのか?!」


「どんだけヘタレなんだお前」

「ヘタレって言うなあああ!お前みたいなモテ野郎にゃオレみたいな非モテの気持ちなんて所詮わかんないよ!」




「いや,その件についてはいろいろ引っかかるがまあ良い。そう泣くな,ちゃんと途中まではお膳立てしてやるから」

「ぐすん,最後まで居てくれないの?」

「むう,コイツ想像以上の甘えんぼさんだな」

「だってー」


「ああ,うっとおしい!やっぱ来るなお前,しっしっ!

「相沢あ〜!!」

「ええい,近寄ってくる前にその鼻水を拭かんかい!」

「…うう」

「…一応,確認しとくけどさ」

「?」

「お前,七瀬さんどうなの?マジなところその気はあんのか?」

「そ,それは…」

「うん」

「七瀬さん,可愛いし…

「おう」

「明るいし…」

「だな」

「…あれ?よく考えたら意外と良く知らないや彼女」

「う」

コケかけた

「あ,ん,でも,ああいうコは好きなタイプだよ?うん」

「…テメー,なんだその贅沢無限大は!香里がいなかったらオレが本線でソッコー誘ってるところの七瀬さんに!」

「え,ええ?!お前ってば,そうなの?!」

「仮定のハナシだ仮定の!オオゲサに反応すな!」

べしっとはたきながら

「あだ!」

「おーい,ソコのバカ達ー!予鈴鳴ったわよー!」

階段から香里さん

「そんなわけだバカ,わかったな?」

「アレ複数形じゃないかよ!」

「ホラ急いだ急いだ!次は教室移動でしょーが!」

「うおーい」

「ふぁーい」












「どーだった?」

教室で香里さん

「概ねご期待には沿えたかと。詳細はココに」

同じく祐一
(恭しく紙片を)

「どれどれ?」

がさごそ

『今晩は口でお願いします』

「…」

黙って祐一を見上げた

「…(にかっ)」

魅惑のスマイルの祐一

「……うふっ♪」

これ以上無いくらい晴れやかな笑顔で

あぎゃあああああああああああああああほうわはうはへうわおうわ!

暴行中
(クラス中一斉に耳を塞いでる)

「…真面目にやる!」

ぽんぽん,と手をはたきながら

「…ふ,ふわい」

重傷





#6





「…こ,コレで如何でございましょうか?」


おそるおそる

「…今度やったらトゲの長いのつけてするからね?」


「ふぁい」

「あ,授業始まるわよ?さ,行った行った!」

追い払うように

「いえすまむ!」

去っていった

「…どれどれ」

授業開始後,手紙をそっと広げた

『土曜日の映画の日を口実に致しました』

「ふむ」

『映画後テキトーにお昼兼お茶して後は若い二人におマカセ,といきたいところですが如何せん異性に関してはヘタレを持って鳴る北川氏なのである程度のフォローは必要かと思われます』

「…(ふむふむ)」

『自然にうちとけるような雰囲気とかを作るために,ゲーセンなりボウリングなりでワンクッション置いて』

「…(ふんふん)」

『夕方は公園の噴水のところでしばらくダベって雰囲気作りをし,頃合いを見計らって香里様をいずこかへとお連れして,北川氏が自然と七瀬嬢と夕食を共に出来るようにお膳立てをしようかと存じております』

「…(いささか正攻法に過ぎる嫌いはあるけれど,この場合は正解かな?)」

「…」

割とマジメに授業を聞いている北川

「…」

そんな北川をちらちらと気にしている七瀬さん

「…(すー)」

夢の国の祐一

「…(んー。ここはひとつ祐一のぷろでゅーすに乗っからせてみよっかな?なんのかんので肝心なときには外さないヤツだし…)」


『なお,この件に関する当方への報酬は香里姫との熱いらぶあふぇあ(濃ゆいの希望)でお願いいたしとう存じます♪』

「…な!」

思わず発声

「?」

教師
(不思議そうに香里を一瞥)

「…す,すみません」

恥ずかしそうに一礼

「…(すー)」

幸せそうな寝顔で

「(…なーにが『♪』よ!この大バカー)」

しかめっ面を作りながら
(でも頬はゆるみっぱなし)

「…(すー)…」

熟睡





「ふわー,何かまだ眠いや」

放課後帰宅中

「…あきれた。あれだけぐっすり寝ててまだ眠たいの?」


素であきれながら

「育ち盛りですし」

「まだ育ってるの?」

「あなた様のおっぱいほどではな
ぐえ!

思いっきり肘鉄

「…往来で恥ずかしいわね」

「申し訳ございません」

「…まったくもー」

「…痛ててて。あ,そうそう,ソレで,あんなもんで良かったの?」

「…何が?」

「例のみっしょん」

「…祐一にしては,結構地に足の着いたプランじゃない?」

「…褒めてるのかソレ?」

「ま,あまり綿密に組んだところでその通り転がってくれるとも限らないわけだからあんなもんで上々よ?」

「そいつは,どうも」

「…七瀬さんも,土曜日はおっけーだって」


放課後確認とったらしい

「ふむ」

「かなりどきどきしながらのお返事だったわよ?かわいかったー♪」

「そか」

「…でも,ちょっと嬉しかった。こういうのに祐一がノッてくれるなんて。…正直あまり期待してなかったし」


「振っといて,なんだよ!」

「…あは,ごめんごめーん!」

「…ま,北川にゃ何かと世話になってるしな」

「…あら?自覚してたんだ?」

「…このヤロ!」

「…ふふ♪」

腕をとって,ぎゅっと抱き締めた

「お,おい!」

外なので照れまくり

「…♪」

「…」

困ったよーに

「…七瀬さん,うまく行くと良いねー」

「コレばっかりは,お互いの気持ちだからな」

「…ふふ」

「どーでも良いけどな,なんかお前,やり手ババアみたいだぞ?」

「…なんですって?」

思いっきりつねり

「あだだだだだごめんごめんごめん!」

「…もう,報酬キャンセルするからね?」


ぷんすか

「お,すると,おっけーなんだ?」

嬉しそうに

「…どーしよっかなー?」


イタズラっぽく

「…お前はその,溜まってないの?」



「溜まるって,何…」


「…」

香里のお尻をさらっと撫で

「…!な!何よいきなり」

ぼん!と顔真っ赤

「…オレはその,そろそろ限界なんだけどな?」


青少年

「な,何言ってるのよ往来で昼間っから!」

「いやそのほら,昨日お前の部屋から帰ったじゃん?」

「…それが?」

「んでも,すぐ雨激しくなったから一旦お前の部屋の軒先に雨宿りに戻り…」


「………祐一?」

声が氷点下に(顔からはさーっと血の気が)

「…いや,そんなつもりじゃなかったんだよ?ただほら,通気口から微かに聞こえ…ぐみゅ!」

「すとーっぷ!」

祐一の口を思いっきり両手で塞ぎながら
(ものすごい顔真っ赤)

「もが!もががががが!」


窒息死寸前

「…!」

手を緩めた

…ぷはー,死ぬかと思った…いや,嬉しかった!めっちゃ嬉しかったんだってば!お前がオレの名前を呼んで,その,あんなに可愛い声でひとりえっ…」

「言うにゃああああああああああああああああっ!!!」

乱打

「あだ!あだだだだ落ち着け落ち着け落ち着けー!」

「ーーーーーーっ!(コレが落ち着いていられるかああああ!)」


超乱打

「あだだだだだだからその,オレもこの週末は全力でお前に満足いただけるようにいろいろ趣向をって香里?香里さーん?!」

「いやああああああああああああああああ!」


恥ずかしさのあまり逃走











#7





「…わ,もうこんな時間だ!今日も疲れたねー」

部活の練習を終えて帰宅中な名雪

「すみません,先輩。私なんかの練習につきあわせちゃって」

神楽坂(仮名)さん
(一年生の中ではものすごく練習熱心なコ)

「いいんだよ,神楽坂(仮名)さん,凄くがんばってるんだもん」

「そんな!先輩こそ私たち一年に任せておけばいいような雑用まで,最後まで残っていつもやってくださるじゃないですか!」


ものすごく恐縮しながら

「だって,わたし,部長さんだし」

にっこり

「…」

「それに,一年の子がこんなにがんばって走り込んでるんだもん。わたしもコレが終わったら引退だし,やり残しがないようにがんばっておきたいだけだよ」

「…先輩」

「あ,でね?神楽坂(仮名)さんはもうちょっと走り込んで足腰が強くなってきたら,ストライドが安定して記録も伸びてくるよー」

「ホントですか?」

「うん。地道に走り込まないといけないからきついんだけども,ソコを乗り越えてベースになる基礎体力さえしっかりしてくればフォームも安定して…」

「…」

「大丈夫,神楽坂(仮名)さんくらいきっちりと手を抜かないでやってればそのうち結果は付いてくるよ!」

「…先輩」










「…むう,完全におへそ曲がっちゃったか」


香里の家の前で悄然と祐一

『……おかけになった電話番号は電波の届かない状態にあるか電源が入って…』

香里さんの携帯

「…しょうがない,帰ろう」

ケンカしたときの香里さん対策その4くらい










「…あの,先輩?」

「なあに?」

「先輩は,卒業したら進学とか就職とかどうしようって考えてらっしゃいます?」

「…うーん,○×△大に行きたいなあって思ってるんだよ」


「…○×△…って先輩なら,もっと良いところ行けるんじゃないですか?」


名雪の成績は結構良い方

「ほら,あそこなら公立だし,陸上部もそこそこ強いし,なによりも…」

「なによりも?」

「ココから近いもん」

「…確かに,駅2つですもんね」

「わたし,この街好きだから…」

しみじみ

「…先輩…」

「?」

「私,嬉しいです!」

名雪の手を取りながら

「きゃ!ちょ!神楽坂(仮名)さん?!」


とまどい

「だって,○×△大なら卒業してもずーっと先輩にご指導いただけるじゃないですか!」

嬉しそう

「…え,えと,わたし,そんな凄いコーチングとかできるわけじゃないから…そんな…」


「私,私,先輩に憧れて『ココに入ろう!』って思ったんですよ?」

「…えと,あの…わたし,そんな大した選手じゃ…」


ものすごい動揺

「去年の競技会で区間新を出したときの先輩!今でも良く覚えてるんですよ?!」

「…あ,いや,あれは,その…」

「雨の中,最後までペースを崩さずに他の人にたすきを渡したあの先輩のかっこよさったらもう!」


夢見るような瞳で名雪の腕にほおずりしながら

「…え,えと…」


大困惑

「それに,私,嬉しかったんです…」

「…?」

「先輩が,私なんかのことをちゃんと見ててくれるなんて…」

「…」

「…私,あまり人付き合い上手じゃないから,いつも友達できなくて,ずっと一人で…」

涙ぐみ

「やー,神楽坂(仮名)さんいきなりミス○△×(一年生におけるなんばーわん)に選ばれちゃうくらいなんだから,人気者だよー?」

割とぶっちぎりだったらしい

「そういうの,恥ずかしくて,その,嬉しくないわけじゃ,無いんですけど…」


顔真っ赤

「…」

「でも,見てくれ以外の部分で,しっかりと私のことを気に掛けてくださっている人が居て…」

「…」

「しかも,ソレが水瀬先輩だなんて…」

腕を「ぎゅー」っと
(胸とかもふにょっと当てている)

「…え,えと,その…」

ミョーな雰囲気にどぎまぎ

「…あ,あの,先輩,よろしければ,その…!」

がばっ!と顔を上げて

「うおーい,なーゆきー?!」

路地向こうから

「え,あ,ゆ,祐一?!」

「…あ…」

「今帰りか?大変だな部活も…って,どうしたんだ?そのコ,具合でも悪いのか?」


心配そうに

「あ,う,うん,いや,ちょっと,疲れたのかな?ははは…」

「…」

会釈をしながらも,名雪のバツ悪げな態度に怪訝そうに祐一を

「…そか。あ,そだ,今日,どうしようかメシ?どっかで食べてく?」

秋子さん未だ出張

「…!!!」

衝撃
(祐一と名雪の関係は全然知らない)

「…んー,どーしよっか?ちょっと待てるならわたし作るよ?」

「!!!!!」

超衝撃

「おお,名雪メシか!そりゃ楽しみだ。ついでに明日の朝の分も材料買っとこうかね?どーせ明日もお前は寝坊…」


「ひどいよ祐一!祐一さえきっちり起こしてくれればちゃんと…」

「!!!!!!!!!!!」

ギガ衝撃

「…ん,どしたんだそのコ,そんなに震えて…」

「…水瀬先輩…?」

「は,はい?!」

「先輩のバカー!えっちー!」

涙目

「…神楽坂(仮名)さん?!神楽坂(仮名)さーん!!コレは違う!違うのよー!!」


「いやあああああああ!」

脱兎

「…」

呆然

「…」

同じく
(でもちょっと助かった感じ)

「…なんか誤解を招いたか?」

「…ホントは誤解が正解なの希望なんだけどね?」


超小声で

「?

「…なんでもないよ,さ,行こっか?」

「ところで,今のコってお前が前話してた,あの?」

「そ,一年の神楽坂(仮名)さん」


「やっぱりミス○△×か!噂ってなかなか違わないねー。すっげえ可愛いじゃん」


眼福眼福,といった風情

「本人はいたって良い子だよ?練習熱心だし真面目だし…」

「…彼氏とか,いるのかな?」

好みのタイプらしい

「…香里に言っちゃうよ?」

デレ入った祐一にちょこっとおかんむり

「超ゴメンナサイ」


「もう,そのうち本気で怒られちゃうんだからね?知らないよ?」

「ふぁーい」











#8





「とうとうこの日が来てしまったか………」

駅前で北川
(約束の1時間前に到着完了)

「うーん,やっぱり緊張するなあ」

落ち着かずにうろうろ

「………落ち着け,落ち着けよオレ!相手はいつもクラスで斜め後ろの席に座ってるあの七瀬さんだぞ?」

頭をがんがんたたきながら
(駅舎の壁で)

「ああ,でも,でも,もし七瀬さんとすてでぃーな仲になれちゃったりなんかしたら!」

妄想おん





『………恥ずかしい………』

脱がされてる

『………綺麗だよ………』

脱がせてる

『………嬉しい,潤君………』

そそ,と北川に抱きついた

『………オレもさ,ルミちゃん………』

背中からお尻に指を滑らせながら





「そしてキスからそのままベッドになだれ込んじゃったりしてな!くぅー!この!この!このぉ!………

ちゃらっちゃららー♪
おりょ?」

一部暴走モード突入寸前でメール着信

『お前のこの様子を七瀬さんにLIVE中継して良い?具体的にはテレビ電話とかで』

祐一の携帯はF○MA
(伏字の意味無し)

「は?!ってうおおおっ?!

「お前驚きすぎ」

後ろから祐一
(携帯を構えながら)

「や,やーめーろーよーこのヤロー!」


携帯を奪い取ろうとしながら

「その様子だと一発終了だよ(この恋が)この挙動不審者!ったくもう,朝っぱらから気持ちの悪い」

「いいいいいいいつから居たの?!」


動揺

「『ルミ,騎乗位でほよほよ揺れるお前のおっぱいに惚れた』のあたりから」

「言ってねえよ!」

「あれ?『後背位で足の付け根にぺふぺふ当たるお前のぷりぷりしたお尻の虜だ』かな?」


「ああああ相沢きききききっさまいつの間にオレの七瀬さんとおおおおおおお!」

微妙に前かがみ

「ええい,そんなわけないだろ!お前の妄想を口に出してみただけだ!そんな涙目鼻水フル勃起でオレ様に近づくんじゃねえよ,しっし!」


「しししししてねえよ妄想!」

「それに,別にお前のとか確定したわけじゃねーだろこのスカタンが」

「だだだだだってー!」

「それに安心しろ,香里情報によるとまだ処女だぞ七瀬さん」


「しょ,しょしょしょしょ処女とか関係ないです僕は純粋にかの,かの,彼女の気持ちが」

「うるせえよ露骨にホッとした顔しやがって!」

「………うう………」

「ったく,オレの言葉ごときでビンカンに反応しやがってこの性少年が。だいたい口が半開きになって目がピンク色に潤んでるそのツラが妄想以外の何だと?」

「………うっ!」


心当たりあり

「こないだ一緒にお前ん家でAV見てたときの興奮スイッチ入りの表情そっくりなんだよ!」

「………うううっ!」

心当たり大あり

「まったく。………あれ以来体育のときとか,お前が舐めるように七瀬さんの体操服姿(正確にはその内側で下着越しに揺れるその各種部位)を追ってるのをオレが知らないとでも?」

「…うううううう舐めるようにとかまでは見てないよう…」

心当たり超大あり

「………ったく,ソレだけが総てでもあるまいに」

「そーだけど,そーだけど………」

「どして,もちょっとこう初々しさみたいなのを前面に出せないかねコイツは」


「そんなこと言ったって,お前みたく不特定多数と不純異性交遊しまくってるようなヤツと違っておつきあいに慣れてないもんはしょうがないじゃん!」

彼女いない歴18年

「失礼な!特定少数と純粋異性交遊だバカモノ!」


ここ数日童貞

「…ええー?」

懐疑的

「………ともかく!せっかくお前のコト好きになってくれてるかもしれないという風変わりな,いや物好きな,いやいや奇特な」

「そそそそそそソレは失礼だぞ七瀬さんに(あとオレに)対して!」


「失礼,そんな素敵な婦女子(しかもあんなにかわいい)とのうれしはずかし初デート前だというのにお前ときたらよだれまで流しながら妄想全開とは嘆かわしい」

「う,うう………」

容赦ない精神打撃にマジ泣き寸前

「ま,気をつけろってこった。そんなん表情に出してたら上手くいくかもしれないものも上手くいかないぞ」

表情を緩めながら

「そんなー,どーしたらいいんだかわかんないよ。全然経験ないのにー」

半泣き

「ええい,うっとーしいなお前!」

殴打

「はう?!」

「………ま,お膳立てはちゃんとすっからさ。あんまりだらしないとこさえ見せなきゃ,ちったあマシだろ」

「………うう………」

「せいぜい,がんばれや」

「………うう,ヒトゴトだと思って」












「やっは!相沢くーん!!」

七瀬さん

「おー!」

「早かったじゃない?もーちょっと後かと思ってたわよー」

そっちこそー!…ほほー」

「…な,なに?」

髪を下ろして,薄ーいメイクに膝上スカートな薄手のジャケット姿

「あーいや,そーすっと見違えるなあ,と思ってさ」

ニカっと笑いながら

「…や,やぁね。恥ずかしいじゃない!」

ぺしぺしと祐一の腕をはたきながら
(頬は赤い)

「…ほら,北川も見とれてる」

駅舎の影の北川を引っ張り出した

「…あ,や,やあ。七瀬…さん」

いっぱいいっぱい風味

「あ,や,やだ?!北川君?!…もう来てたんだ…ごめん,見えなかったー」

焦りながら
(顔真っ赤)

「おはよう北川君」

七瀬さんの横で微笑みながら香里さん
(いつの間にかご到着)

「お,なんだ香里,電話来ないからてっきり来ないのかと…」

待ち合わせの時はだいたい確認の携帯かメールが入る

「さ,行きましょ二人とも?今日は多分混み混みだから並ばないと入れないかもよ?」

笑顔(よく見ると作り笑い)で祐一超スルーしつつ,つかつかと先行

「あ,ああ…」

「お,おい!」

「………」

「………」

「(…ケンカでもしたのかしらあの二人?)」

小声

「(…さ,さあ?)」

小声





#9





「………」

並んで

「………」

映画鑑賞中

「…」

映画そっちのけで七瀬さんの横顔を鑑賞中

「…」

ちょっと映画に入ってる

「…」

可愛いなあ,とか思ってる

「…」

「…」

肘掛けに置いた手が触れそうで触れない距離なのでどぎまぎ

「…」

「…あ…」

無意識にちょっと手が触れた
(七瀬さんのほうから)

「………!」

びっくりして北川のほうを見た

「ご,ごめん!」

何故か謝罪の北川

「…う,うん…」

北川のぎこちなさが伝染
(急に意識しだした)





「………」

その真後ろの席(最後列壁際)でスクリーン凝視中の香里さん

「………」

その横で所在なげな祐一

「………」

「(…なあ香里ー,いい加減機嫌直せよー)」

「(…)」

「(…別にそんな怒ることないじゃん)」

ぷに,とほっぺたに人差し指を

「(…うるっさいわね!)」

パンプスで祐一の足をぐりゅっ!と

(う!)」

咄嗟に奥歯をを噛みしめて悲鳴を押し殺した

ざわ…ざわ…

何人かが声の主を気に

「(…ず…ずびばぜん”…)」

陳謝
(涙目)

「(どうしたのかなぼくー?えいがかんではしずかにしなくちゃだめだよー?)」

笑顔で
(目は全然笑ってない)

「(ぐ…ぎ…ご…)」

必死に悲鳴をこらえながら
(超痛い)

「(…ふん…)」

むくれ

「(…な,なあ,香里,小指は超痛いんだよやめてくれよー)」


「(…静かにしなさいよ映画中よ!子供じゃあるまいし)」

「(んだよ,おまえこそいつまでもだだっ子みたく…)」

「(どーせ大人げないわよ子供だわよ!…いいからほっときなさいよもう!)」

「(………)」

「(………バーカ)」

祐一の反対側を向きながらあっかんべー

「(…あのな)」

「(…)」

じろっ,と
(本日初めて祐一と視線を合わせた)

「(…オレだって故意に盗み聴きしたわけじゃねーんだから)」

「(結果的にいっしょじゃないの!)」

「(別に声が出るのは恥ずかしいコトじゃないだろ?現にコトの最中はお前結構(ぐ))」

ショートフックが鳩尾に

ざわ…ざわ…

また何人かが声の主を気に

「(…て,てめえ!!)」

あまりの痛さに香里の肩を
(注目がそれた後に)

「(それとこれとは別でしょ!フツーそんなの聴かれたら恥ずかしいに決まってるじゃないのよ!もう!)」

涙目で抗議

「(…う…)」

「(だいたい何よ!昨日だってあたしが出る前に携帯切っちゃうし,そのあとも『もう一回くらいかかってくるんじゃないか』って思ってたからずっと待ってたのに!)」


「(…)」

「(今日くらいは自分から電話かけてこないかな?って思ったのにそれも全然だし)」

「(…)」

「(挙げ句の果てに七瀬さんに色目使っちゃってぅ?!」

クチビルを塞がれた
(クチビルで)

「(………)」

「(………むー!!!)」



「(………)」

抱き締めてる

「(………んぅー)」

ひっぱたこうとした手をぎゅっと掴まれて動き止まった

「(………)」

香里の手の力の入り具合から落ち着くタイミングを計ってる

「(………ぅー………)」

抗えない

「(………)」


「(………)」

「(………ふぅ)」

解放

「(………)」


拗ね気味で涙目
(かわいい)

「(…だから,さ…)」

「(………ひっく)」

「(…オレに『ゴメン』って言わせる隙ぐらい見せてよ)」

とても優しげな眼差しで

「(………っく)」

「(……な?)」

頬に優しく手を添えて

「(………っ………ん)」

表情が和らいだ

「(………)」

今度は優しく

「(………)」

「(………ん)」

クチビルを再度寄せた

「(………ん………)」

素直
(黙って目を閉じた)









「面白かったねー」

可愛らしく伸びをしながら
(映画終了なご様子)

「うん,良かった」

いろんな意味で

「…ね,この後,ごはんドコに食べにいこっか?」


祐一の横の香里に

「…」

ぽやー,と頬の赤い香里さん
(夢を見てるような締まりのない目元で)

「…おーい?」

「…うふ♪うふふふふ…」

思い出し笑い風に

「おーい,みさかさーん?」

つんつん,と腕を

「え?あ,ひゃあ?!」

我に返り

「…どうかしたの?」

「あ,いや?何でもない,そ!何でもないのよ?ゴハン,良いところ知ってるよ。さ,ご案内ご案内!連れてってよ祐一ー!」

無駄に明るくレッツゴー!な感じで
(超あっぱー)

「お,おお!まかせとけ!」


ちょっとやりすぎたかしら?とか思いながら

「…仲直りしたのかな?」

「…あ,うん。そうなのかな?」

「さ!急ぎましょうよ!ランチ終わっちゃうわよー?」

ぐいぐい祐一の手をひっぱりながら

「お,お前,急ぎすぎ!」

「アンタが遅いんでしょ!ほら,急ぐ急ぐ」

でも良い笑顔

「なんだってんだ,まったく」

照れ隠し気味に表情を殺しながら

「………」

七瀬さんと

「………」

顔を見合わせながら

「…はは,ま,いっか!行こ?」


本日初めての自然な笑み

「…ん,そだね!」

ほっとしたような笑顔で











「いらっしゃいませー♪4名様でよろしいですか?」

店員さん
(可愛い)

「はい」

「喫煙席か禁煙席かどちらになさいますか?」

「喫煙せ…ほごぉ?!」

ソールで足の甲を

「禁煙席でお願いします」

笑顔

「か,かしこまりました。只今準備中でございますのでもうしばらくお待ちくださいませー」

それでもにっこりと笑って店奥に

「…が,ごっ…そ,そんなぐりぐりしなくても…」

全体重だったらしい

「…うっさいわね。タバコのにおい付くのヤだって言ってんでしょが」

「う,うう,ココはサイドに吸煙機あるからだいじょぶなのに」


「…大体あんた,女の子の脚とかイヤらしい目つきで見過ぎ!」

「み,見てねーよ!」

「…入店からずっと,あんたの視線ばっか追ってたんだけど?」


店員さんのビジュアル(胸元の開いたミニスカのコス)を一見して決定なご様子

「………すんませんした」

土下座

「今日はおごりなのかにゃー?」

従順(?)な祐一に超嬉しそうに
(目は笑ってない)

「…く,くっ!」

涙目

「ココってケーキとかも美味しいって言ってたわね?」

「うう,バイト代出るまであと1週間以上あるのに…」

「良いじゃない,強制的に禁煙できて。…いろいろ間違ってるのを是正する良い機会よ?」


『削るのはタバコ代しかないわよ?』の意

「…くすん,タバコの一本は血の一滴ー…」

涙目



「…ふふ,どーやらもう完全にだいじょぶみたいね?」

「…ええ?!オレにはとてもそうは見えないけどなあ」

「あは,朝方はあいだにわたしたち挟んで口聞かなかったのよ?」


北川を肩越しに見上げつつ,微笑ましげににっこり

「………!」

『わたしたち』の部分に微妙に息を飲みつつ

「?」


「…」

視線を外せずちょっとどきどき

「うおーい,七瀬さーんと外1名,『先にオーダーはどうでしょう?』って言ってるけど,どーする?」


渡されたメニューをぶんぶんさせつつ

「…」

「…あの,北川君?」


「え,あ,ああ,そだね。だいじょぶそうだね」


「あは。…やだ,どしたの?」

北川の反応がツボったらしい

「え,あ,や,ごめん,ぼーっとしてた…」


「大丈夫じゃないのはおまえの脳とかだぞこのスケベ野郎」

メニューの角で

「あだ!」

被暴行

「手近な人にアタらないのよ!」

「そーだそーだ!」

「うわ,2対1なの?」

「…あのー」

所在なげ

「大体あんたは時々他人に理不尽なのよ」

「特にオレに」

「3対1?!」

「『3対1』じゃないわよ,場所わきまえろって言ってるの!」

「…ちょ,ちょっとみんな…」

店員さんに気が付いた

「…お席の準備ができましたけれども?」

困ったように微笑みながら

「おわ,しまった!」

「あ,すみません,今行きますー」

「ますー」

「ごめんなさいでしたー」


みんなバツ悪げ











「ふっわー,美味しかったー♪」


お食事終了で公園にでも行こうか,と言う展開に
(十組以上席待ちがいるので即退席)

「おなかいっぱいだー。ごちそーさまでした」

全員ランチコース,デザートは北川や祐一のをもらって一人アタマ二人分だった

「いえいえ,どーいたしまして♪…結構,量あるのなココ」

七瀬さんの分をおごった

「…うう,来週馬券で勝負するつもりだったのにー」

香里の分はおごらされた

「これもあんたに順法精神を教育するためよ?」


並んで歩きながら

「…うう,ぜってー嘘だ…」

半泣き

「いーでしょ?どーせ当たんない馬券なんか」

「なんだとー?元はと言えばこのお金も先々週イチゴサンデーがオレにくれたんだぞー?」

単勝4870円だった

「だから競馬会に返しちゃわないうちに『香里にごちそうでもしとこっかな?』とか,積極的にあんたから申し出てくれたって良いじゃない?」


「うっわ,かわいくねー…っと,ほい」

ひょい,と車道側に位置を入れ替わった

「…べー,だ!」

どーせかわいくないですよーだ!的あっかんべー





「………」

ちょっと後ろを歩いてる

「………」

ちょいちょい,と北川の袖を突っつきながら

「ん,何?」

「あの二人,すごく仲良いわね」


「ケンカしてるようにしか見えないけど,そういうもんかな?」

「…美坂さん,さっきから目がすっごく優しいわよ?それに…」

「?」

「相沢君は相沢君で歩くスピードを美坂さんにあわせたりとか,何げに車道側に回ったりとかしてる」

「…うお,そう言えば」

「相沢君,普段はつっけんどんだけど美坂さんにはああやって笑うんだね」

「………」

「…うらやましいなあ…」

「…美坂が,かい?」

「………」

「………」


『七瀬さんも相沢のコトが?』と内心どきどき

「…二人とも,よ」

「………」

「…私,バイトと部活ばっかりだったから…」

「………」

「ああやって彼氏と楽しそうにしてるのって,あこがれなんだー…」

「………」


内心ほっとしてる

「………」

「………」

ちょっと嬉しそう

「………」

「………」


「…北川君,彼女いるの?」

「え,あ,な,なんだい?」

「…んもー,良いわよ,もう!」

「…ごめん,ちょっと考え事してて」

「…何でもないから」


ちょっと俯いた

「…あ…」

バツ悪げ

「………」

「………」






「うおーい北川,ちょっとコンビニ寄ってくるから,先に淑女達をエスコートしてくれたまえ?」

振り返りながら

「………」


「おい!」

目の前でぱぁん,と手を

「わあ?!」


「まーた妄想癖発動かよこのスケベ」

「そそそそそんなんじゃないよ!

「あー図星な?」

「図星違ーう!!」

「…まあまあ,何気まずくなってんだよ?せっかく道すがら二人きりで話できるよにしたのに」


小声で

「…え,あ?」

「…ったく,間をとっとくから仕切り直せよ?」


軽く手を振りながらコンビニにだっしゅ

「…お,おい!」

「北川君,七瀬さん,先に行きましょうよ?」

にこにこ

「…あ,う,うん…行こうか?七瀬さん」

「…うん…」












「………」

香里さん

「………」

七瀬さん

「なんか,浮かないわね?どうかしたの?」

「ううん,なんでもないの」

「なんでもない,って顔じゃないわよ?」

「………」

「………」


「…あは,敵わないなあ。美坂さんには…」


「?」

「…ん,なんか,話弾まないなあ,と思って…」

「…ふむ」

「こう,ほら,なかなか核心に踏み込めないって言うか」

「ははー?」

「…あは,ごめんごめん,気を遣わせちゃってー」

「ふむ。シャイなのにも程がある,ってことね?」


「あ,いや!そんな急に,っていうのも,その,ほら,北川君だって困る,と…」


「あはん,こんなときは自己中で上等なのよ?こゆのって勢いとかも大切なんだから」

「でも…」

「でももなにも,北川君もまんざらでもない,って感じなんでしょ?今日日男の方からあぷろーちをじっと待つってだけが手じゃないでしょ?」

携帯メール操作ちう

『ベータの意思確認完了,プランBで』

ぴぽ♪

送信

「…相沢君にも,自分から?」

「う,そ,それは秘密ー!」

「えー,ずるーい!」


「それはまた,機会があったら,ね?まずは負けず劣らず内気コちゃんのほうからなんとかしましょ!」

「あ,ちょ,ちょっと!!」

「さあさ,れっつごーとぅざぱーく!」

「あ,あん,もう!!ちょっとー!!」






「?」

離れてついていってるので会話の内容はよくわかんない風味な北川

「………!」

「………?」


「………♪」

「いいなあ,みんな一緒だったら,あんなふうに気楽に話せるんだけどなあ…」

「………」

「………」


「………いいなあ」

二人の後ろ姿をみつめながら

「…コラこの変質者!なにケツばっかじろじろ見てるんだ視姦か?視姦のつもりなのか?!」

突然背後から祐一

「ぐ,が,ぎ!!」

スリーパーホールド(チョーク気味)

「…ったくこの湿式スケベが」

「ぶはー!はー!な,何しやがるテメエ!!」


「何しやがる,じゃねえよ。その威勢の良さをなぜ対女のコのノリにつなげないんだ?」

「ば,ばっきゃろ!おまえみてえなタラシと違うんだ!もっと,こう,順序とか踏んで…」

「…る内に,気がついたら誰かほかの男の腕の中,だぜ?」

「…って,七瀬さんはそんなコじゃ…」

「…思うのは勝手だけどさ,女って結構リアリスト多いんだぜ?脈無しとわかればさっさと次,ってのはよく聞くハナシさ」

「…知った風なことを」

「わはん。そんな修羅場とか知らない訳じゃねえしな」

「………」

「な,今の印象だけで聞くぜ?」

「あんだよ」

「好きになるかどうかってのはおいとくとしてさ,とりあえず友達以上への入り口ってやつに踏み出してみる気はないか?」

「おまえとか?」

「お望みとあらばいまココで我が担任に電話…」

携帯電話帳さーち

「すとーっぷすとーっぷごめんごめんごめーん!」

全力

「ま,おまえ次第だけどな」

「…そんな,突然言われても…」

「突然,じゃねえだろ」


「………は?」

「学校でもバイト中でも,さ」


「………」

「話をするタイミングを気にしてたりとか,時々わざわざ作ったりとか。向こうに多少なりともその気があるからこその行動ってのをさすがに気がつかないかね?北川サン」

「………」

「ちょっとでも彼女のことを良いと思ってて,かつヤダって訳じゃないんだったら始めてみても良いと思うんだけどな」

「…始めるって,何を?」


「贔屓目無くたっていい女だぜ。七瀬さん。…ま,オレの意見はココまでさ。さ,公園ついたぜ?」

思いっきり

「あだ!!」


ケツをはたかれた

「何も選ばないのも,何かを始めてみるのも貴様次第だぜ。青少年!」

「ちょ,ま,おまえ」

「うおーい,香里ー!七瀬さーん!とりあえず噴水前行こうぜ!」

先行する二人に手とか振りながら

「あ,こ,こら!」

「ダベるにしても何にしてもさー…」

音速

「…ちぇ,あおるだけあおりやがって…」

追走




TURN TO THE NEXT!











お囃子・感想などいただけましたら。

おなまえ(省略可)



お囃子!(ちょっぴり←→盛大)

ぱち ぱちぱち ぱちぱちぱち

よろしければ何か一言!(省略可)