海が見える堤防。
緩やかな風を全身で感じていられるこの場所で、わたしは座っていた。



蝉の声がよく聞こえる。
みーんみんみん、って、必死に叫んでいるみたい。
生きていられる時間が短いから、頑張って何かを残そうと頑張っているのかも、と思った。

夏の陽射しの中、舗装された道路には陽炎。
ゆらゆら揺れる景色の向こうに、人影がひとつ見える。





「あの………………」

近づいてきた人は、わたしに声を掛けてきた。










「…………誰かを待っているの?」

























waiting one -new encounter-

























ショートカットの活発そうなその女の子は、堤防の上のわたしを見上げるようにして言った。
このままだと悪いので、堤防から降りる。

「はい、待ってます。…………あなたは?」
「うん。ボクも人を待ってるんだ。この辺でいいはずなんだけど…………」

少し戸惑いが含まれてる顔。

「いいはずだけれど?」
「………………うぐぅ、迷子になったかも」

彼女は苦笑して、でも別に嫌そうでもない。
何だろうか、そんな彼女が気になった。



「あの…………わたし、神尾観鈴って言います。…………よかったら名前、教えてくれません?」

わたしの突然な言葉に、ほんの僅かな間を置いて、





「…………ボクは、月宮あゆだよ」



小さく笑って返してくれた。





















ふたり堤防に腰掛けて、ずっとお互いの待ち人が来ることを願っていた。

空を一緒に見上げる。
この町の夏、空はただ青い。
雲はほんの僅かで、どこまでも遠くを見つめてもひたすら海の青と空の青が続くだけ。
わたしはそんな景色を眺めているのが好き。理由とかはいらなくて、ただ見ている、それだけで。


一羽の鳥が、視界を横切る。
それは一瞬の間だけど、羽を広げて風を切り、空を駆ける姿はしっかりと目に焼きついた。





「あゆさん。…………人は、空を飛べると思いますか?」
「えっと…………そうだね、飛べるよ。羽はなくったって、ボク達はいつも空を夢見てるから」

一度言葉を切り、少し間を置いて彼女は続ける。










――――――でも、いつだってボク達が帰る場所は地上なんだ。空じゃなくて、この大気の下に待っている人がいるからね」










「…………わたしも、そう思う。空は孤独で、わたし達はひとりじゃ生きていけない、だからわたし達は飛ばないんだ、って」





彼方から、鳥の詩が聞こえる。
わたしとあゆさんは、それにしばらく耳を傾けていた。































陽炎の先に人影が見える。
真っ黒な服装をしているから、あれは往人さんだ。

あゆさんもどうやら待ち人が来たみたいで、堤防から軽快に降りて手を振る。
往人さんはわたしから見て右側、あゆさんの待っていた人はわたしから見て左側に。
まだはっきりと姿は見えないから、走って迎えに行こうと思う。……待っていたのに『迎えに行く』っていうのも変だけど。


「あゆさん。…………また、会えるといいですね」
「大丈夫。ボク達はもう繋がってるから、いつだって会えるよ。きっと」


握手を交わし、お互いにその手を離す。
最後に笑い合って、ふたり別の道を歩き始めた。










「どこ行ってたんだ、あゆ。随分探したんだぞ」
「祐一くん、どこで会うかも言ってなかったよっ!」
「うっ…………………………まぁ、こうして会えたんだからいいじゃないか」










「往人さん、少し遅いよ」
「悪かったな。ちょっと厄介事に巻き込まれてな」
「その辺の説明はあとでちゃんと聞くからね」
「むぅ………………」















遠くに消えていく、わたしの"ともだち"。





「…………どうした、そんな嬉しそうな顔をして」
「何でもない。それより早く行こっ、往人さん」





往人さんの手を取って駆け出す。
目的地は決まってない。海で水を掛け合うかもしれないし、神社でお参りしたりするかもしれない。



行くところなんて、本当はどこでもいい。
わたしは、往人さんと一緒にいられればそれでいいから。










「ばいばい、あゆさん。また、いつか」











この時期(今日現在8/9)なら残暑見舞いということになるのでしょうが、梅雨も明けたばかりなのに『残暑』というのはどうかと、とも思うので『何とか見舞い』と言っときます。
季節柄『AIR』で書いてみました。夏だし。

…………うわ、書き方思いっきり忘れてるよ(滅

一応あゆと会ってるから『Kanon』とのクロスにもなるんでしょうが、観鈴の一人称なので分類はAIRでしょう。
全く意味もありません。ていうか訳わかんないですねこれ(汗
「またね」と"約束"して、お互いに別れるその様が書きたかっただけです(オイ
改行ばかりだし、何より短くて…………ごめんなさい(滝汗



至らない私のモノでごめんなさい。
とりあえず、ほんの少しだけでも喜んでいただけたら幸いですよー。
ではでは、まったりー。








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