「海だぜ岡崎っ!」
「ああ,海だな春原」
「抜けるような青空に白い雲!」
「水平線の彼方までどんより黒い雲で埋め尽くされてるんだが」
「きらめく海に白い波!」
「じっとりと暗い上に荒れ狂ってるよーに見えるんだが」
「そして輝く水着のお姉ちゃん達がわんさかと!」
「ウエットスーツの暑苦しいサーファーのおっさんどもしかいないんだが」
「どーしていちいち人の話の腰を折るんですか?僕を萎えさせて楽しいですか?!」
「折るもクソも現実を口にしとるだけだろーが!大体昨日の時点で気づけよ!今日『台風の接近にご注意ください』ってメガネかけた智代みたいなねーちゃんがテレビの天気予報で言ってたじゃねえかよ!」
Channel'11-Summer Night Breezer
「ぐすん,『みんなが望んでくれるなら,奇跡はいつだって起きるの!いくわよ!ランカちゃん!』って昨日の晩のラジオでも歌ってたから安心してたのに!」
↑
あまりの強風に車に戻ってハンドルを握りながら
「端から奇跡頼みかよ!!ってかそれ以前に海決行の根拠はソレかよ!」
「……だってお仕事の休み今日だけだったんだもん。一夏の思い出に海に女の子をナンパしに行こうってコトがそんなに悪いですか!」
「あー,わかった!わかったから涙と鼻水拭けよ!ったく汚ねえなあ。そもそもこんな天気で,本気で『海に行こうぜ☆』とか言ってると思わないだろが!」
「天気が悪くても気合いと根性で来てる水着の女のコはいるかも知れないじゃないか!」
「大体,暴風警報が出てる晩夏の浜辺に水着の女のコはフツーこねえよ!これ見ろほら,しばらく風強くなる一方だぞほら!」
↑
スマホの天気予報画面提示
「じゃなんで止めてくれなかったんだよ−!」
「いや止めない方が面白いかな-,とか」
「ひ,ひどいっ!」
「俺も連休の初日で暇だったからさー」
「ちっきしょう連休なのかよ!くっそー,免許取って初めての遠出だってのに。こ,こうなったらせめて女のコに癒されないとっ!ほ,他に女のコが集まりそうな場所は……」
「……この辺にはないな。一番近いショッピングモールとかもここから20kmは離れてるし。どーする?街にでも戻って学校でも行くか?」
「学校行っても誰もいないよっ!」
がん
「「がん?」」
「ひいいいいいいいいいいぶつけたぶつけたぶつけちゃったああああ!」
↑
前を走ってた黒塗りの高級車っぽい車に
「ちゃんと前向いて運転してねーからだろ?ったくー」
「うわやっべ,降りてきた」
「まっすぐこっち来るな」
「オルルァ!降りろ!免許持ってんのかコラ!」
↑
あからさまに893っぽい外見のスーツの男
「やべ!あからさまに怖そうな!」
「ぉいゴルァ!免許見せろぉ!」
↑
ドアにごんごんケリを入れながら
「……ひいっ!」
「早くしろよ」
「……はい……」
「チッ,免許取り立てじゃねえかよ。おいお前ら車についてこい!」
↑
免許をひったくって自分の車に乗り込んだ
「うっわどーしよう!ねえねえねえどうしよう?!」
「つうか渡しちゃったらどーしょうもねえだろ。アレで金作られたりとかしたら大変なことだぜ」
「金?!」
「どー見てもまともな筋の人間じゃねえだろうあの男。アレでクレジットカード作られてガンガン買い物されて金払えなくなってもっと怖い兄ちゃん達が取り立てに来て変な船乗せられて高金利で金を貸し付けられてどこかの国に売り飛ばされたりとかいろんな素敵な未来図がだな?」
「そんな句読点もなしにマジかYO!この一発で人生エンドじゃないすかやだー!」
「……取りあえず取り返しに行くしかねえだろ」
「取り返す?!」
「……ついてって隙見て奪い取るしかないよな」
「……うう……」
* * *
「免許証返してください」
↑
事務所のようなところで
「やだよ,おう」
(らっきー,このオッサン一人しかいねえな。さて,どーしたもんか)
「返してください!」
「それでも謝ってんのかよ」
「お願いします,免許証……」
「やだっつってんだろ。とりあえず土下座しろこの野郎,おう。早くしろよ」
「……うう……」
↑
正座で
「誰の車にぶつけたと思ってんだよ,おい」
「すんません!」
「どう落とし前つけんだよこの野郎」
「オナシャス!スイマセンでした!」
「返して欲しいんだな?」
「はい」
「じゃあとりあえずお前犬の真似してみろ」
「は?!」
「犬だよ,四つん這いになんだよ」
「はあ?!ヨツンヴァイン?!」
「はあ?!じゃねえよ。人のベシャリを茶化してんじゃねんだよこの野郎。早くしろよ。おい,免許証返さねえぞ!」
「……やれば返していただけるんですか」
「おう,考えてやるよ。早くしろよ!」
「こうですか」
↑
四つん這いになった
「何犬のくせにお前服着てんだよ?」
「は?!」
「お前はるはらってのか?」
「すのはらっていいます,はい」
「読みにくい名前付けてんじゃねえんだよこの野郎!」
「ハッー!すんません!」
「おいそこのお前」
「はい?」
「そうお前だよ。お前脱がせろ!そいつを脱がせるんだよ!おう早くしろよ!」
「お,岡崎!て,てめえっ!」
「(……いいから奴が隙を見せるまで言うとおりにしてろ!まだ何するかわかんねえから迂闊には動けん!)」
「(う,うう……)」
↑
上着脱がされた
「ズボンもだよ。早くしろよ。服着てる犬なんかいねえんだよ脱がせろ早く」
「……うう」
「パンツもだよ!」
「ええ?!」
「ええ?!じゃねえんだよ免許証返さねえぞ早くしろよ」
「……うう……」
↑
全裸で四つん這いに
「わはははははバカじゃねーの?……おい,お前ワンワン鳴いてみろこの野郎。おう」
↑
ご満悦
「ワン!ワン!」
「わはははは3回な,3回」
「ワン!ワン!ワン!」
「よーし,回ってみろよ」
「ワン!ワン!ワン!」
「よーしお手だお手ほら。お手だよ。早くしろよ」
「ワン!ワン!ワン!」
「ハイタッチだこの野郎」
「ワン!ワン!ワン!」
「よーし。……なんか犬っぽくねえな。なあ?なんか足んねーよなぁ?お前首輪してもらうか。なあ。おい,お前首輪してやれよこの野郎。早くしろよ」
「……うう……」
「汚ねえケツだなあ。おい……」
↑
スパンキングしながら
「ひいっ?!」
「お前初めてかココは?」
↑
*周辺を指でなぞりながら
「……こ,ココって」
「ココってココだよ。ケツだよ。あんなボロ車乗ってるくらいだ。金持ってねえんだろう?取りあえずココでお詫びしてもらうんだよ」
「ひ!ひいいいいいっ!」
「暴れんなよ,暴れるともって痛えぞ?おめえみたいなガキ結構タイプなんだよ」
「ひいいいいいいいいいいいいいいいいあなたソッチ方面の人ですかっ!?いやだいやだいやだ童貞の前に処女奪われるなんてそんなの嫌だああああああああ!」
「やっぱ初釜かよ。任せとけ,悪いようにゃ……」
「いいいいいいやああああああだあああああああ!」
「ぬうん!」
↑
後ろからスレッジハンマー
「ボゴおっ?!」
「車,別に傷も付いてないのにやり過ぎだおっさん」
「んだよ痛ってえなこのヤルルぉ」
↑
懐から拳銃を取り出した
「くっ!」
「俺にチャレンジかこのガキ?」
「(しまった,ミスったっ!内ポケットに銃持ってやがったのかっ!?)」
「おう!撃たれたくなかったら取りあえずお前も全部脱いでソッチに並ぶんだな。この際まとめていただくとするか……」
「朋也,あぶないっ!!」
↑
遠距離からの辞典のようなモノが
「?!」
「ぐばあっ?!」
↑
後頭部にくりーんひっと
「岡崎,下がってろ!!」
↑
あり得ない角度からのスーパーイナズマキックが
「……智代?!」
「ごのぉっ!?」
↑
追撃のクリーンヒット
「はっ!」
「あごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?」
↑
ダメ押しのこんぼ(新記録達成風味)
* * *
「助かったよ,ありがとう」
「何,気にするな。どうせ台風ですることもなかったんだ。それに……」
「?」
「久々に岡崎の顔も見たか……いや,なんでもない」
「おっとぉ,最初の一発を食らわせた私にも感謝して欲しいもんよね?」
「杏!」
「台風で原チャ2ケツはきつかったわよー?……たくぅ,手間のかかる」
「さっきの男より運転の方が怖かった」
「ありがとう……でも,二人ともよくココがわかったな?」
「ふふふ,愛は何だって可能に……じゃなくて,助けを呼ぶ声が聞こえた気がしたのよ!さて,行きましょうか?何か美味しいものごちそうしてもらわなきゃだし?」
↑
そそくさと「カレ○グ」とか表示してあるタブレットを防水バッグにしまいながら
「うわ,給料前なんでその辺は春原に!……って春原?春原は?」
「あれ?陽平いたっけ?」
「知らん」
「ひでえ!」
「一応,服と免許証はココにあるが」
「お,おい,本人は?」
「まあいいか。陽平だし何とかするでしょ。それよりごはんごはん!」
「ああ,確かに,お腹はすいたな」
「……お手柔らかに頼むな?」
「それでは,れっつらごー!」
↑
スクーターを春原車に積んで
* * *
「うわああああああああああああん助かったときにちょっと勃起してたからって何も置いてかなくたっていいじゃないかあああああああああああああ!」
※下北沢暴力団員殺害事件とは多分関係ないです。ポコポコ(*゜ω
゜*)
おしまい
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