鈴ちゃんのバレンタインデー戦記?
バレンタインデーの前夜───。
恭介「ところで、鈴よ。どうしても訊いておきたい事があるんだが?」
棗恭介は、自分の部屋に来ていた妹に向かい、こんな問いかけをしていた。
鈴「なんだ、(21)恭介?」
恭介「………いい加減、それはやめろっ──明日、バレンタインデーだが、今年も理樹に渡すのはチロルチェコ1個だけなのか?」
鈴「そんなワケあるかぁっ!」
恭介「そうだよな。今年もチロル1個で済まそうものなら──間違いなく、理樹に愛想尽かされるしな」
妹の答えを聞いて、『これなら鈴の想いも成就するな』と安心すると新しく買った漫画本を読もうと───
鈴「うむ。だから、今年は奮発してチロルチェコ1袋だぞ」
恭介「…………………………………………」
───した手が緊急停止すると同時に思考まで緊急停止(=絶句)してしまった………。
暫くして───。
恭介「なあ……それ、本気か……?」
鈴「うむ。本気と書いて、マジだ」
何とか絶句状態から回復した恭介の絞り出すような問いかけに───鈴が何の曇りない瞳で言い切った。
恭介「そうか……流石の俺もこれだけは言いたくはなかったが──鈴よ」
鈴「なんだ?」
恭介「お前は、間違いなく理樹に振られる」
鈴「な、なんでじゃあああぁぁぁぁっ!!?」
実兄から『理樹に振られる』と言い切られ、憤った声を上げる鈴。
恭介「それはだな──お前が渡すチョコは、手作りじゃないからだっ」
鈴「うーみゅぅ………手作りなんて、めんどい」
恭介「確かに面倒だ。だがな、鈴よ。バレンタインデーに渡すのが手作りチョコだったら理樹も喜ぶと思わんか?」
鈴「う……」
恭介「しかもだ、お前以外のリトルバスターズ女性陣一同は──手作りチョコを理樹に渡す事だろう」
鈴「うぅ……」
恭介「よって、チロル1袋で済まそうとする鈴は──理樹に見向きすらされないだろうな」
鈴「うぅぅ〜〜〜」
はっきりきっぱりと理由付きで恭介に断言されてしまい、唸る事しか出来ない鈴だったりする。
鈴「───よしっ、あたしは決めたっ」
2〜3分間、唸っていたが───何かしらの決意を秘めた顔でこう力強く告げていた。
恭介「そうか、決めたか。で、どう決めたんだ?」
今からだと──手作りするには時間的に厳しいかもしれんが、それなりのものは出来るだろうと恭介は思っていたのだが───
鈴「うむ。理樹に手作りチョコが渡されないよう、みんなのジャマをする事にしたっ」
恭介「………………………………………………………………」
─────棗恭介、本日2度目の緊急停止───。
ぼんやりと………恭介の思考が再起動していく中で───
恭介(すまん、理樹──強く生きてくれ……俺にはどうする事もできん……)
───妹の言いがかりとしか言いようがない不幸を背負い込む事が10,000%確定してしまった弟分に向かい、決して届かぬ謝罪をしていたのであった………。
そして───運命のバレンタインデー当日。
理樹「え〜とぉ……鈴?」
鈴「うにゃ?」
理樹達、リトルバスターズ幼馴染メンバーは、いつも通りに登校していたのだが───
理樹「そんなに引っ付かれると歩き難いんだけど……?」
───『絶対に離れるものか』と意気込んでる鈴が理樹の腕にしがみ付いていた。
鈴「理樹を──魔の手から守るためだ。我慢しろっ」
理樹「なに言ってるのか、全然分からないよっっ!?」
『本当に分からないよっ』という感じで突っ込みを入れる理樹。
謙吾「なあ、恭介。今日の鈴、やけに積極的だな?」
真人「だな。理樹のヤツ、鈴と勝負して、負けでもしたのか?」
恭介「………お前らのその気楽さが羨ましいぜ………ホント、マジで……」
真人「あ? 一体、どうしたんだよ?」
恭介「今日の鈴はだ───いわゆる暴君だ」
謙吾「───あ〜、なるほどな。一波乱ありそうだな」
恭介「一波乱だけで済めばいいがな……」
真人「ムリなんじゃねーの? 何せ、鈴だしよ」
謙吾「そうだな、鈴だしな」
恭介「………お前ら、他人事だと思いやがって……」
と言って、一斉に理樹から離れようとしない鈴を生暖かい目で見ていた───。
理樹「え〜とぉ、鈴? もう教室なんだけど……?」
鈴「それがどうした?」
───2−Eの教室に着いても理樹から離れようとしなかったりする───。
理樹「それよりも鈴は恥ずかしくないの……?」
鈴「………よく考えたら、何かはずいかも……」
そう呟いて、理樹の腕から離れる鈴───それを見計らってなのか、
杉並「あ、あのぉ………」
理樹「え? 杉並さん?」
杉並「そ、そのぉ………な、直枝君、こ、これを───」
クラスメイトの杉並睦美が綺麗にラッピングされた箱を理樹を差し出そう───
鈴「ふかぁぁぁーーーっ!!」
杉並「きゃっ!? な、なにっ!?」
───とした瞬間、鈴に激しく威嚇されたっ!!
理樹「ちょ、ちょっと、鈴っ!? 一体、どうしたのさっ!?」
鈴「ふかぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!」
杉並「……こ、怖いっ………」
と言い残して、その場から後ずさりで逃げ出すしかなかった………。
────杉並睦美、棗鈴に威嚇され、何も出来ずに撤退………。
時間は進み、HR開始の予鈴前───。
葉留佳「おーおー、皆の衆〜。今日もいい天気ですな〜」
鈴「はるか、うっさいっ。自分の教室に帰れっ」
葉留佳「ひどっ!? りんちゃん、ひどっ!!」
佳奈多「確かに棗さんの言う通りね」
葉留佳「おねえちゃんもひどっ!?」
───HR前の2−E名物となりつつある、鈴と葉留佳と佳奈多の3人漫才であったりする。
葉留佳「でも、はるちんはこれしきの事では懲りないのだっ」
佳奈多「少しは懲りなさいよ……ところで直枝、今日は何の日が分かっているわよね?」
理樹「───何か、馬鹿にされてるような気がするけど……今日はバレンタインでしょ?」
佳奈多「正解。そういう事だから、有難ぁ〜くチョコを受け───」
鈴「ふかぁぁぁーーーっ!!」
棗鈴、二木佳奈多に向かい、威嚇による撃退開始っ!
葉留佳「うわっ? 今のりんちゃん、まるで盛りの付いたネコさんみたいデスネ」
佳奈多「感心してる場合じゃないでしょっ! まあ、その意見には同意するけど」
葉留佳「………同意だけはするんデスネ?」
『やれやれ』と肩をすぼめる佳奈多に、その姉の言動を見て──ぽつりと呟く葉留佳………。
鈴「ふ───」
更に──鈴が威嚇第2波を口にしようと───
佳奈多「ここに──新作モンペチ30%割引券が5枚あるんだけど?」
佳奈多が鈴に向かい、チケットみたいな紙切れをひらひらとさせると───
鈴「────うむ、理樹にチョコを渡すがいい」
2−E一同(元風紀委員長が贈賄の現行犯っっ!!!??)
あっさりと鈴が懐柔されたっ!
佳奈多「ありがとう。それじゃあ、葉留佳」
葉留佳「らじゃーっ、ですヨっ」
と敬礼した葉留佳は──割と高さのある箱を理樹に渡そうと───
鈴「はるかはダメだっ!!」
葉留佳「うげっ!?」
───いきなり、鈴に尻尾のような髪を引っ張られ、カエルが潰れたような声を出す葉留佳───ついでに『ぐきっ』という音もしたけど。
葉留佳「りんちゃんっ、ヒドいですヨっ」
鈴「うっさいっ。許したのはかなたであって、はるかではないぞっ」
涙目でぶーぶーと文句を言う葉留佳に対し、鈴が『ふかー』と憤った声を上げる。
佳奈多「あらそうなの? なら、私がOKなら、葉留佳もOKよ」
鈴「にゃに?」
葉留佳「実はですねー、今日のチョコ、はるちんとおねえちゃんとの合作なのですヨっ」
心の底から──嬉しそうに答える葉留佳。
佳奈多「───そういう事よ……まったく、そんなに嬉しそうに答えないでよ……恥ずかしいじゃない……」
鈴「うーみゅぅ……じゃあ、はるかな姉妹として渡すがいい」
『何かずるいぞ』という顔で言い直す………。
佳奈多「………『はるかな姉妹』って……勝手に変な名前、付けないでくれない……?」
葉留佳「………はるちんとおねえちゃんは、どこぞの外人さんデスカ……?」
とまあ、色々と言いたい事が山ほどあったのだが──何はともあれ、理樹にチョコレート・シフォンケーキを手渡す事に成功した、はるかな姉妹であった───。
────三枝葉留佳&二木佳奈多、棗鈴をモンペチ割引券で買収する事により、MISSION COMPLETE!!
その後──はるかな姉妹と入れ替えで、
小毬「うわぁーんっ、遅れたよーっ」
HR本鈴と同時に小毬が駆け込んで来た事でHR前の攻防は終了したであった───。
それから時間は進み、1時限終了後の休み時間───。
美魚「直枝さん、少しいいでしょうか?」
理樹「西園さん? いいけど、もしかして、バレンタイン?」
美魚「はい。なので、これを受け取って───」
と美魚が理樹にバレンタインチョコを理樹に手渡そうとしたところで───
鈴「待てっ、みおっ」
───鈴の割り込みを受けた。
美魚「………鈴さん、邪魔をしないで下さい」
───美魚の目がすっと細まった。
鈴「う………」
美魚の気迫に思わず怯む鈴だが───
鈴「みおっ、これで手を打ってくれっ」
───うすぅ〜い本の束を美魚に差し出した。
美魚「───分かりました、打ちましょう」
と言い残して、何事もなかったかのように自分の席に戻っていった───。
ちなみに───。
理樹「今日の鈴っ、なんかおかしいよっっ!? ねえっ!!」
という心の底からの悲鳴に誰も答えてくれなかったりするド不幸な少年がいたりもする………。
────西園美魚、棗鈴から『薄い本』を提供され、バレンタイン戦線から撤収。
自発的に撤収した美魚と入れ替わりなのか、
あや「りっきく〜んっ♪」
別クラスのあやが2−Eの教室に入って来た。
鈴「待っていたぞ、アヤラー」
あや「誰が『アヤラー』よっ!? それにっ、あんたなんかに用はないわよっ!」
鈴「だがっ、あたしには用があるっ」
あや「じゃあ、何よ? さっさと言いなさいよ?」
あや、不貞腐れながらも先に鈴の用件を済ます事にした。
鈴「これをやるから、今すぐ自分の教室に帰れっ、そして、二度と来るなっ」
あや「ちょっ、何、その独裁者的発言はっっ!?………って、これはっ!!?」
───鈴が手にしている『学園革命スクレボ』第1巻に釘付けになる。
あや「───ざ、残念だけど……こ、この程度のモノで、こ、このあたしが買収されると思って?」
理樹「その割には、動揺しまくってるけど?」
あや「うんがーっ!!!」
あや、理樹の的確な突っ込みに思わず絶叫。
葉留佳「やはー、おねえちゃんの言う通り、やってましたねー」
佳奈多「私としては、当たって欲しくなかったけどね……」
と2−Eでの騒動を聞き付けたのか、はるかな姉妹再登場。
一方、進退窮まった鈴は、
鈴「くっ──なら、これの全巻でどうだっ!?」
今現在、発刊されている『学園革命スクレボ』全巻─恐らく持ち主は恭介と思われる─、あやに付き付ける。
あや「おっけー、商談成立よ♪」
理樹&葉留佳&佳奈多「「「あっさり買収されたっっ!!?」」」
────朱鷺戸あや、棗鈴から『学園革命スクレボ』全巻を譲られ、何もしないで自分の教室に引き返す。
更に時間は進み、2時限終了後の休み時間───。
来ヶ谷「さてと──鈴君、少しいいか?」
鈴「今、あたしは忙しい」
来ヶ谷「うむ、確かに忙しいようだな。では、遠慮せず実力行使と行こうか」
鈴「にゃにっ!?」
いきなり宣戦布告され、動揺しまくる。
来ヶ谷「はっはっは、簡単な事だよ。理樹少年にチョコレート渡したいから鈴君をどうにかしてしまおうという事だ」
と言い切って、嬉しそうに手をわきわきさせながら、鈴に近づく来ヶ谷。
鈴「ふかぁぁぁーーっ!! 来るなっ、近づくなっ、あっち行けぇぇぇっ!! ぼけぇぇぇーーっ!!」
来ヶ谷「はっはっはぁーーっ」
正に言葉通りの急転直下に次ぐ急転直下──まさか、自分の貞操がちょーピンチに陥るとは思っていなかった、とくちゃくちゃ大後悔真っ最中の鈴ちゃん───。
来ヶ谷「さて、鈴君。覚悟はいいかね?」
鈴「いいワケないだろぉぉぉーーーっ!!」
来ヶ谷「ならさっさと覚悟決めろ奥手猫娘」
鈴「う……うぅぅ………ゆ、ゆいちゃん……」
ぴたり
来ヶ谷「……いや、『ゆいちゃん』はやめてくれないか?」
苦し紛れに言い放った鈴の呼びかけにより──来ヶ谷さん、ただ今、激しく動揺中。
鈴「っ!? ゆいちゃん」
来ヶ谷「……く……小毬君だけ手一杯なのに……何故、鈴君にまで………」
と苦悶の表情を浮かべる来ヶ谷。
鈴「ゆいちゃんは、ゆいちゃんで、ゆいちゃんだろ?」
来ヶ谷「ぐは……」
りんのこうげき、くるがやはたおれたっ!
鈴「た、たすかったぁ………」
自分自身の貞操を守り切り、冗談抜きで安堵の表情を浮かべた鈴ちゃんだったりする───。
────来ヶ谷唯湖、棗鈴決死の『ゆいちゃんコール』により、問答無用の敗北………。
そして、3時限終了後の休み時間───。
クド「リキー、イッツ、バレンタインチョコレートなのですーっ」
ひょい
クド「わふぅーっ!? 鈴さん、何をするですかぁーっ!?」
鈴「クドは、ちっちゃいから、こうゆう時はとても助かる」
クド「わふっ!? ぐれーとお世話さんなのですっ!」
仔猫を摘み上げるかのようにクドを持ち上げる鈴。
鈴「クド、今日一日、理樹に近づかないでくれ」
クド「わふぅ………」
鈴にこう言われ、急に捨てられた仔犬ような目になるクド。
鈴「う。く、クド……その目は反則だぞ……」
クド「わふ?」
鈴「う、うぅ………」
棗鈴、絶体絶命の大ぴ〜んちっ。
鈴「すぅ〜はぁ〜、すぅ〜はぁ〜。うん、これでよしっ。クド、ちょっといいか?」
クド「はい、何でしょう?」
クドを床に降ろすと──動揺しまくりの気持ちを抑え付けにかかり、そして、それに成功した。
鈴「このダンボール箱に入ってくれるか?」
クド「はいなのですぅ〜。イッツ、ボックス、イン、ミーっ、なのですぅー」
鈴に言われた通り、ダンボール箱に入るクド──それが鈴が思い付いた苦し紛れの罠とも知らず───。
鈴「それでだ、この紙をここに置けば……うむ、完成だ」
クド「???」
鈴が置いた紙に目を向けてみると、
─────『かわいがってあげてください』と書かれていた───。
クド「わふぅーっ!!? 私は捨て犬さんなのですかぁーーーっ!!?」
クド、思わず絶叫。
女子生徒R「はぅ〜、かあいい〜かあいいよぉ〜」
クド「わふっ!!? スピード、ボックス、アウト、ミーっ、なのですっ!!!」
大慌ててでダンボール箱から脱出しようとするのだが………。
女子生徒R「お、お持ち帰り〜〜〜〜っ」
クド「わふううううぅぅぅぅぅーーーーーっ!!!!??」
────能美・クドリャフカ、女子生徒Rにお持ち帰りされ、2−E教室から強制退室………。
恐らく楽しいはずのお昼休み───。
小毬「りんちゃん、どうぞー♪」
鈴「……………こまりちゃん、これは……?」
4時限目終了と同時に──小毬からラッピングされた箱を渡されたためか、鈴が困惑してたりする。
小毬「友チョコだよー」
鈴「ともちょこ??」
小毬「うん♪ 大切なお友達に渡すチョコレートだよー」
鈴「うーみゅぅ………普通、バレンタインデーは、女から男に渡すものじゃないのか?」
至極真っ当な質問する。
小毬「もちろん、それもあるよー。でもね、今は親しい人とか、お世話になった人とかに渡すのがトレンドなんだよー」
鈴「…………全然知らなかった……」
小毬からこう教えられ、目から鱗状態の鈴。
葉留佳「何か、微笑ましいデスネ?」
佳奈多「そうね。これだけ見れば、微笑ましいわね」
────神北小毬、棗鈴に友チョコレートを渡す事で、MISSION COMPLETE???
クラスの大多数が鈴と小毬のほんわかきゅ〜と空間でほのぼのとしていると───
佐々美「たのもぉーっ!」
───明らかに、場違いな掛け声が響き渡った。
鈴「ささせがわささみっ!?」
佐々美「ささみがわささせ、ですわっ!!…………あら??」
………お約束の言い間違えだったりする。
佐々美「………こほん。ところで、直枝理樹はいらっしゃいます?」
鈴「ふかあああぁぁぁぁーーーっっ!!」
棗鈴、即座に戦闘態勢に移行。
佐々美「あら、やる気ですの?」
笹瀬川佐々美、同じく戦闘態勢に───
佐々美「───悪いけど、直枝にチェコを渡してから、あなたと相手して差し上げますわ」
鈴「そんな事させるかぁぁぁぁぁっ!!」
佐々美「なっ!? あなたには関係ない事でしょうっ!!?」
小毬「そうだよー。りんちゃん、そんなイジワルをしたらダメだよー」
と小毬が鈴を窘めている───が、
2−E女子一同「神北(小毬)さん、それを今頃言うのですかっ!!?」
小毬「ふえ?」
という総突っ込みが入っていたりする。
鈴「いくら、こまりちゃんの頼みでも、これだけは絶対に譲れんっ!!」
小毬「りんちゃぁ〜ん、イジワルは───」
鈴「ふかぁーーーっ」
話は終わりとばかりに小毬を威嚇する鈴───だが……。
小毬「ふぇ……」
───結果は、涙腺大決壊、数秒前だったりする。
鈴「う………こまりちゃんに免じて……………許す……」
2−E一同(泣き落とされたっ!!?)
───結局、小毬ちゃんには敵わない鈴ちゃんだったりする。
佐々美「最初からそうしておけば、問題なかったのですわ」
鈴「ううぅぅぅ〜」
佐々美にこう言われても唸る事しか出来なかったりする──ケンカしたら小毬が泣き出すから……。
佐々美「こほん……直枝」
理樹「な、なにかな……?」
佐々美「こ、これ、受け取って頂けます?」
理樹「う、うん……」
チョコを渡そうとする佐々美に近づくため、理樹が一歩踏み出したところに───それこそ、場違いすぎるほど場違いなバナナの皮が───。
理樹「え?」
───理樹がそれを踏み付けた瞬間、床との摩擦力が0となり───
理樹「うわあああぁぁぁぁぁーーーーっ!!?」
佐々美「はっ!? 危ないですわっ!!」
────どさっ
鈴「なああああぁぁぁぁぁぁーーーーっ!!!??」
小毬「ほわああぁぁぁーっ!? さーちゃん、大胆だよーっ!!?」
葉留佳「………ホント、大胆デスネ……」
佳奈多「………葉留佳、口調が棒読みなんだけど……?」
────自分の目の前で起きた出来事を見て、口々にこう言ってたりする──但し、約1名は絶叫だが……。
鈴「う、うぅ………理樹なんかキライだぁぁぁぁっ!!!」
────棗鈴、捨て台詞を残して、敵前逃亡………。
その日の夜、恭介の自室では───。
鈴「ううぅぅぅ〜〜〜」
涙目の鈴が──部屋の隅で両膝を抱えてうずくまっていた。
恭介「半分、自業自得だな」
鈴「うっさい、ぼけぇ………」
力無い声を言い返す───。
恭介「───ふぅ……ところで、チロル1袋、理樹に渡したのか?」
鈴「………………………………渡すの忘れた」
恭介「…………………………鈴、お前にこの称号を進呈しよう」
棗鈴は──『本来の目的をド忘れした、うっかり仔猫ちゃん』の称号を得た
鈴「いらんわっ、ボケぇぇぇーーーっ!!」
同時刻、佐々美と小毬の部屋では───。
小毬「でも、凄いねー。おまじない、本当に効いてたよー」
佐々美「え?」
携帯電話を通して、知り合いと楽しげに会話をしていた小毬の台詞の中に───聞き捨てならない単語が聞き取れた。
???『そうですか〜。喜んで貰えて、わたしも嬉しいです〜』
小毬「あ、もうこんな時間っ。もう切るねー。ゆきちゃん、おやすみだよー♪」
???『はい、おやすみなさい〜』
それを最後に携帯電話をしまう小毬。
佐々美「神北さん、少しよろしいかしら?」
小毬「ふえ? さーちゃん、どしたの?」
佐々美「随分と親しげにお話していましたけど、神北さんとお知り合いですの?」
小毬「ゆきちゃんのこと?」
佐々美「ええ、そうですわ」
小毬「え〜とねー、ボランティア活動の時にお知り合いになったんだけど、宮沢有紀寧ちゃんと言ってねー────」
────『お友達の彼氏がその子以外のバレンタインチョコを受けれとなくする』と『お友達が偶然の事故を装って、その人の意中の人とキスをする』というおまじないを教えてくれたんだよー、と小毬は続けた───。
小毬「でねー、そのおまじない、さーちゃんにかけてたら遅刻しそうになっちゃったよー」
ぴくぴくぴく……
佐々美「あ・の・で・す・ねっ、か・っ・て・にっ、人に変な呪いをかけないで下さいますっ!!!??」
小毬「ひゃああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
波乱満載のバレンタインデーを締め括るかのように───ちょード級の雷が小毬に直撃したのは言うまでもない───。
─Fin─
[あとがき]
本作品は、Rodmateさん主催の『Key2次創作ぷちふぇすた2010─はっぴー?!ばれんたいん&ほわいとでー─』用に書いた話です。
自分でも書いてて、くちゃくちゃ面白かったです。
さて、次はホワイトデー用を書かなきゃな……
ではでは〜。
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