『バーニング・クリスマス!』 


 
 
 
 僕、直枝理樹と来ヶ谷唯湖が恋人同士になって暫く経った、11月中頃の放送室。
「12月23日にデート?」
「うん、12月24日はリトルバスターズ皆でパーティーやるから、その前にと思ってるんだけど、どうかな?」
僕は来ヶ谷さんにデートのお誘いをしていた。
「ふむふむ、そうやって、デートとプレゼントの二段構えで私を喜ばせておいて、夜は私としっぽりむふふな性夜を楽しもうという腹だな?」
「いやいやいや、そこまでは考えて無いよ!」
「なんだつまらん、理樹君がそのつもりなら、超セクシーな勝負下着を着けてあげようと思ったのに」
あるぇー? なんだか理不尽な怒られ方してませんか僕?
「まぁ、良い。23日は予定を空けておくよ」
とりあえずOKもらえたので安心するが、ここからが本題だ。
「ただ、これから暫くの間時間取れないと思うんだ」
「私へのプレゼントを買う為にアルバイトでもするのか?」
相変わらずそういう部分では聡い人だ。うかつな隠しごとは出来ない。
「そのつもりなんだけど、良い?」
「私としては、プレゼントよりも君が側に居てくれれば良いんだが、理樹君とて男の子としての意地も有るだろうしな。了解だ」
「ありがとう来ヶ谷さん」
「構わないさ、私もこれから暫くの間、放課後は君との時間が取れないと言おうと思ってたからな」
「あ、そうなんだ」
「だから、君に寂しい思いをさせてしまうかもしれないが、許して欲しい」
「ううん、そんな事無いよ。それはお互い様だし」
「やはり理樹君は優しいな、だからそんな君にはこれをあげよう」
そう言うと僕に紙袋を渡す。
「なんだろう? うえええええええっ!?」
中に入っていたのは、来ヶ谷さんが自分で撮ったと思われるギリギリな露出の写真数枚と、ブラとショーツの下着一式だった。
「うむ、私に会えない寂しさをそれで紛らわせて貰おうと思ってね。あぁ、その下着は私の今一番のお気に入りだ、堪能すると良い」
「本当、勘弁して下さい」
慌てて紙袋を押し返す。
「そうか、残念だ」
この人は、自分の恋人を変態にしたてあげたいのだろうか?
「それに、やっぱり下着や写真より、本物の来ヶ谷さんの方が断然良いからさ」
「う゛っ、またそんな恥かしい事を言ってくれちゃって」
カウンター成功。赤くなってそっぽを向く来ヶ谷さん。
「と、とにかく事情は理解した。プレゼント期待してるぞ、理樹君」
「が、頑張ります」


そんな訳で僕は、来ヶ谷さんにクリスプレゼントを買うべく、アルバイト中です。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
何故か女装してメイド服を着て、隣町に有るメイド喫茶で・・・・・・orz
 何故こんな事になっちゃったかと言うと、僕がプレゼントを買うには手持ちじゃちょっと足りなかったから、恭介にアルバイトのつてを頼んでみた。
「アルバイト? あぁ、来ヶ谷にクリスマスプレゼント買うのか。良いぜ。俺もクリスマスパーティーの仕込みで金が要るから丁度バイトしようと思ってたんだ。
まぁ、俺に任せておきな、とびっきり良いバイト紹介してやるよ」
簡単に承諾してくれたんだけど。疑いもせず、全面的に信じた僕が馬鹿でした。
「よっ、なかなかの美少女っぷりじゃないか? 理樹ちゃん」
こんな事になった元凶がにこやかに僕に話しかけてくる。
「恭介っ、なんで僕は女装してメイド服着なきゃならないのさ?」
自分はちゃっかり裏方の皿洗いや、調理の方で採用されていた。
「いやな、冗談でお前の女装写真見せて、性別(女)で紹介したら一発採用になっちまったんだ。悪ぃ」
ちっとも悪いと思ってなさそうな顔で言っているのが実に腹立たしい。
「それにしたって、何で女の子なんて嘘ついたのさ。恭介と同じ裏方で紹介しれくれれば良かったのに」
「それはもちろん、その方が萌えるからだ」
「明らかに使ってる字がおかしいよね?」
「いや、まさかお前が本当に女装してメイド服着てバイトするなんて思わなかったしよ」
「しょうがないでしょ、他のアルバイト探す時間は無かったんだし、恭介の顔を潰すのも悪いと思ったし」
メイド服もロングスカートタイプなのが不幸中の幸いだった。そして、僕と分からないようにロングヘアのかつらをつけてごまかしている。
とはいえ、僕の女装を見慣れているリトルバスターズの女子メンバーにはバレてしまうだろうけど。
「だから皆が来ないように隣町のメイド喫茶選んだだぜ? それに理樹と俺はバイトだから邪魔しないようにと皆にも行ってあるしな」
その手際の良さを違うところに生かして欲しい。でも、まぁ、女装だったら、
「理樹君、私は君が男の子であることはちゃんと認めている。だが君に女装が似合うのもまた事実だ。と、言うことで次はこれを着て見せてくれ♪」
こんな具合で、来ヶ谷さんが僕にしょちゅうさせるものだから、すっかり耐性が出来てしまっていた。これも強くなったと言えるのかなぁ?
それにこっちが要求を飲めば、来ヶ谷さんも僕の要望にも付き合ってくれるし。どんな要望かは黙秘します。
「理樹、お前の友情と優しさに感謝だぜっ!」
「と、言いつつ何で携帯で写真取ってるのさ?」
「良いじゃねぇか、折角だから記念に。なっ?」
「だーもー」
「直枝ちゃーん、お客様の応対おねがーい」
ホールから他のアルバイトの子に呼び出される。
「ほら、ご指名だぜ? 理樹ちゃん」
「くっ、この借りは絶対に返すからね? はーい、今行きますー」
「あぁ、覚えておくさ」
出来るものならやってみな、と言わんばかりの顔をしている恭介。その余裕も今の内だ。
(来ヶ谷さんに鍛えられた僕を甘く見ない方が良いよ恭介? クリスマスパーティーで一緒に地獄に堕ちてもらうからね? ふふふふふ)
心の中だけで恭介に対する黒い復讐心を燃やしつつ、アルバイトに精を出す僕であった。
アルバイトで心身に深いダメージを負ったものの、来ヶ谷さんとのデート代金とプレゼント用の資金は無事調達出来た。


 そして、今日は12月23日デート当日。
レストランの予約、プレゼントの購入と、全ての準備を整えた僕は、校門で来ヶ谷さんを待っていた。
少しでも彼女に釣り合う様にと、スーツ風のジャケットとスラックスの上にロングコートを着て待つ。
「やぁ、理樹君。お待たせ」
「ううん、僕がただ早く来ただけだからさ」
待ち合わせの時間ぴったりに来ヶ谷さんは姿を現した。
上は白のロングコートにショルダーバッグ、下は黒のミニスカートに黒のストッキング、黒のブーツと黒で統一されていた。
そこに来ヶ谷さんの黒の髪が映え、白と黒のコントラストが眩しかった。
それと顔を良く見ると、唇にいつもより艶が有る。
「どうした? 私の顔をじろじろ見て、照れるじゃないか」
「あ、ごめん、いつもより唇に艶が有ったから口紅してるのかなぁってね?」
「あぁ、これはグロスのリップクリームだよ。唇はしっかり保護しないとな。ひび割れた唇で君とキスするなんて、私のプライドが許さない」
「そ、そうですか」
そこまで意識してくれていた事に嬉しく思う反面、自分は唇のケアについて何もしてなかった事を気づかされて少しへこむ。
「今度はどうしたんだ? 申し訳なさそうな顔して」
「あ〜、僕そこまでケアとか考えた事無かったからさ」
「それは男の子と女の子の意識の違いというものだよ。そんなに気にする事は無い」
「そうかもしれないけど」
「まぁ、どうしても気になると言うなら、こうすれば良い」
「えっ、うむっ!?」
いきなり校門の影に引っ張られたかと思うと、唇を奪われた。それから、来ヶ谷さんは僕の唇に自分の唇を強めに擦りつけてくる。
「ぷはっ、どうしたの急に」
「良いから、唇を触ってみろ」
「へ?」
言われるままに唇を触ってみると、来ヶ谷さんのリップが僕に移っていた。
「それで今日の所は大丈夫だろう」
来ヶ谷さんはそう言ながら、バッグからコンパクトとリップを取り出し、手早く塗りなおす。
「うん、これでOKだな」
「だからってこんな事しなくても普通に塗ってくれれば良かったんじゃ?」
「嫌だったのか?」
「いえ、大歓迎です」
恋人にキスされて嬉しくない訳が無い。ただ、いきなりだったからとまどっただけ。
「なら、良いじゃないか。ほらほら今日は折角のデートなんだ、しっかりエスコートを頼むぞ?」
そう言うと僕の腕に自分の腕を絡ませてきた。
「そうだね、それじゃ行こうか」
来ヶ谷さんの温もりと胸の感触を腕に感じ、自分の頬が熱くなるのを感じながら僕達は歩き始めた。


 まず最初はデートの定番の映画鑑賞。
普段は、休日に来ヶ谷さんの部屋でアクション映画やコメディー映画を一緒に見る事が多い。
(僕の部屋だと必ず誰かが乱入してくるので静かに見る事が出来ない)
だけど、今日は折角のデートだからと恋愛映画を見る事にした。
来ヶ谷さんは最初『やはり柄じゃない』と、逃げようとしたんだけど強引に連れ込んで席に着かせた。
それからも少し文句を言ったものの、実際に始まると、静かにかつ真剣に映画を見ていた。
 映画が終って、僕達は映画館を出る。
少し切なくて、でも、最後はハッピーエンドで終わる。そんなとある北の町のお話だった。
現実は映画ほど上手くは行かないだろうけど、それでも得る物は有る。僕は、内容に満足していた。
来ヶ谷さんは無言で僕の腕にぎゅっと抱き付いていた。
「どうしたの? 映画面白くなかった?」
「あぁ、違うんだ。ただ、君をもっと感じたいと思ったんだ。あの映画にあてられたのかもしれないな」
「そっか」
「映画の中で出てきた『何気無い日常はそれこそ奇跡が積み重なって出来ているのかもしれない』という言葉。無味乾燥な日常を過ごしていたかつての
私ならきっと嘲笑しただろう。でも、君と出会って、リトルバスターズの皆と過ごして、そしてあの事故を乗り越えた今なら、それも実感出来る」
「うん、そうだね。僕もあの事故でそれを強く実感させられた」
当たり前の事が当たり前で無くなる、いつそんな事が起きるか分からない。だから今をもっと大事にしたいと思うようになった。
「だから、もっと君を感じていたい。暫くこのままでいさせてくれ」
「良いよ、僕ももっと来ヶ谷さんを感じていたい」
僕は来ヶ谷さんを抱き寄せ、暫くの間そうしていた。
 映画館を出たら丁度お昼だったので、近くの喫茶店で軽く食事を採り、クリスマス一色の町の中を二人で歩いた。
それからデパートに入って、CD売り場で、唯湖さんがまたとんでもない題名のCDを見つけてきては僕が呆れるたり、下着売り場に嬉々として僕を
連れて行こうとするのを必死に止めたり、ゲームセンターで対戦したり(こてんぱんにされた)、ガンシューティングで遊んだり(当然1コインでクリア)
UFOキャッチャーであえて不細工なぬいぐるみを取って、これを小毬さんやクドにあげてその反応が見たい、と意地悪な計画を立てるのに突っ込んだりして
夕食の時間までを遊んで過ごした。


 そして、僕達は前日予約をしていたレストランの中に居る。
「なぁ、理樹君。ここ高かったんじゃないのか?」
来ヶ谷さんがそう尋ねてくる。
「大丈夫だよ。クリスマスディナーで格安になってるんだ」
デートに備えて、タウン情報誌を読んでリーズナブルな所を選んだので資金的には問題無い。
僕だって恋人に良い所を見せたいって欲は有る。まぁ、そんな事言ったら来ヶ谷さんは『可愛いなぁ』と笑うんだろうけど。
「そうか、それじゃあ遠慮なくご馳走になろう」
二人でテーブルに着き、出された料理に舌鼓を打つ。
慣れないコース料理に悪戦苦闘する僕に対し、来ヶ谷さんは実に優雅に食事をしていた。
「コース料理は外側から順番にナイフとフォークを使うんだ。それとスプーンの尻は人に見せ無いように使うんだ」
食事のレクチャーまでされる始末。うぅ、ちょっと見栄張り過ぎだったかなぁ。
「そんなにしょげるな理樹君。こういう機会は滅多に無いだろうし、これから覚えて行けば良いじゃないか。今後も誘ってくれるんだろう?」
そう優しく笑いながら、来ヶ谷さんは僕にリベンジのチャンスを与えてくれる。
彼女のそんな優しさに感謝しつつ、次はそんな失敗しないよう色々勉強しようと思った。


  レストランを出て、二人学園の寮までの道を並んで歩く。僕にとって勝負の時。
「ねぇ来ヶ谷さん。ちょっとそこの公園入らない?」
目の前に見えた学園近くの公園を指差す。
「ん? 理樹君は野外プレイが良いのか? 流石にこの時期は寒いんじゃないか?」
「ぶっ! いや、やらないから」
いつもの冗談に決意が挫けそうになるが、今日はそれに負けれいられない。
「そうか、まぁ時間は有るから構わないよ」
聡い来ヶ谷さんの事だ、この先の展開はきっと読めてるのだろう。冗談をあっさり切り上げ公園に入って行った。
二人で誰も居ない公園のベンチに座る。
「もう、分かってると思うけど。これプレゼント」
コートのポケットに入れていた小箱を来ヶ谷さんに渡す。
「ここで開けて良いのか?」
黙って頷く。
「理樹君。これ」
来ヶ谷さんが手にしているのは、シンプルなデザインのシルバーリング。指輪は予想外だったのか珍しく動揺している。
「うん、今の僕にはこれが精一杯」
「これ、結構値段が張ったんじゃないか?」
「まぁ、ちょっと痛かったけどね。でも、来ヶ谷さんと二人で過ごす初めてのクリスマスだったし、ちょっと頑張ったんだ。僕は来ヶ谷さんに釣り合ってる
とはまだ思えない。でも努力して胸を張って来ヶ谷さんの隣に立てるようになってみせる。だから来ヶ谷さんの隣、予約して良いかな?」
僕の今の精一杯の想いを伝えた。
「馬鹿、こんなとんでもない女の為に頑張って。君に相応しくないのはむしろ私の方だ」
来ヶ谷さんは、そう言って瞳を潤ませる。
「そんな事無いよ、僕にとっては誰よりも素敵で可愛い一人の女の子だよ」
「ふふふ、嬉し涙を流すなんて一生涯無いと思っていた。君はいつも私の想像を飛び越える。良いよ理樹君、私の隣は一生涯君だけの物だ、だから
君の隣も私の物だぞ? 私は嫉妬深いぞ? セクハラ沢山しちゃうぞ? 二度と離してやらんぞ? それでも良いんだな?」
笑顔で涙を流しながら、念を押してくる。どれだけ欠点を上げたって意味が無い、だって。
「そんな所全部ひっくるめて僕は来ヶ谷唯湖って女の子を愛しているんだから」
自分でも言っていて凄く恥かしい、顔が熱くなるのを自覚する。でもここは絶対に譲れない、譲らない。
「全く君はとんでも無い物を盗んでくれたな。ルパン3世も真っ青だ」
「えっと、それってやっぱり」
「そう、私のハート、だよ」
某有名なアニメと同じ台詞を言いつつ、来ヶ谷さんは僕を抱き締めるとその唇を僕の唇に重ね合わせた。



 「あぁ、そうだ。こんな素敵なプレゼントをもらった後じゃ見劣りしてしまうだろうが」
いつもより少し長く、熱いキスを終えた後、来ヶ谷さんはそう言いながらバックから紙袋を取り出した。
「私からのクリスマスプレゼントだ。受け取って欲しい」
「有難う、来ヶ谷さん。でもこれ来ヶ谷さんの下着とかじゃないよね?」
「いくらなんでもこんな時にそんな悪戯するほど無粋じゃないぞ、私は」
「ごめんごめん」
今のは全面的に僕が悪い。拗ねた来ヶ谷さんに謝罪しつつ袋を開けて中に有る物を取り出すと。
「マフラー? 来ヶ谷さん、もしかしてこれって」
「うむ、私の手編みだ、何分編み物は初めてだったんでな、経験の有る小毬君やクドリャフカ君に教わりながら編んだんだ」
放課後に時間が取れないと言ったていた事もこれで合点が行く、あのめんどくさがりな来ヶ谷さんが僕の為に手編みしてくれた事に胸が熱くなる。
それに、既製品かと思うくらい見事な出来栄えだった。やはり来ヶ谷さんは何でも出来るんだなと改めて思う。
「有難う、凄く嬉しいよ」
「君の指輪にくらべたら大した事じゃないさ」
「そんな事無い、今、体も心も凄く暖かいよ」
「そうか、なら頑張った甲斐が有ったよ。なぁ、理樹君お願いが二つ有るんだ」
「何? 僕で良ければ何でも聞くよ」
「今晩、ずっと私と一緒に居て欲しい。今日は1秒たりとも君と離れていたくない」
「えと、あの、それ」
誘われちゃってます? 僕。
「ええい、察しろ。鈍い男は嫌いだぞ」
自分の言葉に照れたのか、顔を赤く染めて僕に背中を向ける来ヶ谷さん。
「ぼ、僕も来ヶ谷さんと一緒に居たい、です」
僕も嬉しさと恥かしさで上ずった声で返事をする。
「それともう一つ、これからは私の事は名前で呼んでくれ」
「分かったよ、唯湖さん」
「なっ、いきなり順応し過ぎだろうそれは」
なんの照れも無く言えた事に過剰反応する来ヶ谷じゃなくて、唯湖さん。いつかそう呼べれば、と思って練習していたのは秘密だ。
「でも、唯湖さんがOKしたんだから、早く慣れてね? 唯湖さん」
「くっ、ここぞとばかりに。やっぱり君はドSだ。もう良い、早く私の部屋に行くぞ」
「はいはい♪」
「全くもう、こうなったらベッドでたっぷり搾り取ってやる」
「あ、待ってよ唯湖さん」
僕は真人の携帯に『今日は戻らない』とメールを送信し、照れ隠しで怖い台詞を吐きつつ、真っ赤な顔のまま早足で部屋に向かう唯湖さんを追いかけた。



 「結局聖夜が性夜になってしまったな」
唯湖さんが僕の胸に頭を乗せて、そうつぶやく。
「誘ったのは確かに私だが、調子に乗って何度も何度も。可愛い顔して本当にエロスだな君は」
「ちょっ、唯湖さんだってもっと、もっとっておねだりしてきたじゃないか? 僕だけのせいにしないでよ」
「そ、それは理樹君が上手だから、気持ち良くなってついおねだりしたくなっただけだ。だからやっぱり理樹君のせいだ」
「いやいやいやいや、だからそうなっちゃうのは唯湖さんの反応が可愛いからもっと見たくなるだけで」
「理樹君が」
「唯湖さんが、ってやめようか」
「そうだな、実に不毛だ。私は理樹君が好きで、理樹君は私が好き。だからついつい求め過ぎてしまうって事で妥協しよう」
「異議無し、でも、次からはもうちょっと控えようか、体に力入らないや」
体が凄くだるくてベッドから出る事すら億劫だ。
「うむ、葉留佳君あたりに見られたらおもちゃにされること必至だ」
全然笑えない。
「こんなオチがついてしまったが、有難う理樹君。今までで最高のクリスマスだ」
そう僕に微笑む唯湖さん。だけど、これで満足してもらっちゃ困る。
「来年はもっと喜んで貰えるよう頑張るからさ、期待してて欲しいな」
「ほう、いつになく強気な発言だな? だが、私のハードルは高いぞ?」
「だったらそれに応えるまでだよ。それと、遅くなっちゃったけどメリークリスマス唯湖さん。これからもよろしく」
「メリークリスマス理樹君。それは私の台詞だよ」
お互いに笑いながら、パーティーが始まる時間までベッドでじゃれあうのだった。





おまけ 理樹君の大逆襲

 12月24日、寮の食堂を借り切ったリトルバスターズメンバーと、二木佳奈多、笹瀬川佐々美によるクリスマスパーティー会場。
「有難うご主人様、僕の為にこんな素敵なアルバイト先を選んでくれて♪」
「ちょっ、待て理樹っ? お前一体どうしたってんだよ」
アルバイト先で使っていたメイド服に身を包み、恭介の前に立ってこんな事を言っているのは、僕こと直枝理樹。
とんでもないアルバイト先を紹介しれくれた恭介への復讐の真っ最中である。
会場には、当然唯湖さんや他の参加者たちも居る。はっきり言って恥かしい。
だけど、アルバイト先で不特定多数のお客(主に男)に見られた恥かしさに比べれば遥かにマシ。
どうせなら徹底的にやって皆をドン引きさせ、恭介を反省させようと言うのが僕の仕返しプランである。
「時給も良かったからプレゼントも買えたし、こんな可愛い服も着られたし、ご主人様には感謝してるんだ」
「いや、おい、マジで待ってくれよ理樹」
「アルバイトを紹介したお礼に何が良いって聞いたら、僕にメイド服でご奉仕してくれって言ってたよね?」
「ち、違うっ、俺はそんな事一言も言ってねぇ!」
「バイト中も沢山携帯で写真を撮ってくれてたけど、そんなに可愛かったの?」
「た、確かに可愛かったがって違うっ、あれは単に記念にだな・・・・・・はっ!?」
クリスマスの楽しいムードが一転、絶対零度のブリザードが吹き荒れてそうな程、周囲の温度は下がっていた。
「恭介の理樹への執着半端じゃなかったからなぁ、いつかやるんじゃねーかと思ってたんだよ俺はよぉ」
「全く、彼女を作ろうとしなかったのはそう言う趣味だったからか? 見損なったぞ恭介」
「うぅ、こんなのがあたしの兄貴なんて、穴が有ったら入りたい」
「う〜ん見なかった事に・・・・・・うわぁぁぁぁんやっぱり無理ぃ〜」
「わ、わ、わ、わわわ、どうしましょう〜。恭介さんが変な趣味に走ってしまいました?」
「うわ〜、ロリコン、ショタコン、シスコンの三冠王どころか男の娘(おとこのこ)萌えとは。変態のグランドスラムですネ」
「葉留佳、クドリャフカ、こんな人が本当にリーダーなの? 遊ぶ相手は考えた方が良いわよ、本気で」
「宮沢様まで変な道に染めたら許しませんわよっ!」
「とうとうそちらへの道に目覚めたんですね恭介さん。素敵です」
おおむね予想通りの反応をしてくれている。正に計画通り。西園さんについてはもう言及はすまい。
ただ、唯湖さんだけが一言も発していない。気になって彼女の方を見ると。
「うわぁ・・・・・・」
これ以上に無いくらいドス黒いオーラを纏ったまま俯いてました。うん、完全にぷっつんしてるねこれ。ゴゴゴゴゴって幻聴が聞こえるよ。
「恭介氏、私の可愛い未来の旦那様になんて事をしてくれやがった。私でさえしてもらった事無いと言うのに」
「ちょっ、待て来ヶ谷。これは理樹の罠だっ、策略だ」
「例えそうだとしても、理樹君にここまでさせる程追い込んだ事許し難し、よって極刑に処す」
「理樹、俺が悪かった、調子こいてすんませんでしたぁぁぁぁぁっ、だから来ヶ谷止めてくれぇぇぇぇぇっ」
「うん、無理♪(1秒)」
「即答かよっ? 1秒って秋子さんかよっ?」
「さぁ〜楽しいおしおきターイムだ」
「ぎゃああああああああああああっ!」
「チェックメイトだ」
そう言うなりパーティーで使っていたナイフを複数投げ、恭介を壁に磔にする。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁっ」
「おぶっ、がはっ、うげっ」
それから超高速の拳打で動けない恭介をサンドバックにする。あ〜唯湖さんの背中に英語3文字の吸血鬼なお方が見えるよ。
「恭介が悪いんだからちゃんと反省してね。多分聞こえて無いと思うけど」
「無駄ぁっ!」
「ぐふぁっ」
「ロードローラーは流石に無いからな、代わりにこれで引導を渡してやろう」
「ちょっ、唯湖さんストップストーーーーップ。殺人だけは駄目ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「ええい離せ、理樹君。とどめを刺させろっ」
さんざん恭介をぼこぼこにした唯湖さんは、とどめとばかりにコンダラで恭介を轢こうとしてたけど、流石に殺人はまずいので止めました。


それから更に一日経った12月25日、唯湖さんの部屋。
「理樹ちゃん、お茶」
「はーいただいまー」
僕はメイド服姿で来ヶ谷さんにお茶を出す。
「そんな愉快な事を私に黙っていた罰だ。今日一日メイド服を着てのご奉仕を命じる」
黙っていた後ろめたさも有るし、そもそも唯湖さんに逆らえる訳も無く、ただいまご奉仕真っ最中です、とほほ。
「あの時はつい頭に来て恭介氏をフルボッコしてしまったが、これはおかしくなってもしょうがないな、可愛すぎるぞ理樹君」
「僕としては凄く複雑だよ」
「心配するな、君が男の子だって事は私がちゃんと理解してるからな」
そう言って僕を後ろから抱き締める唯湖さん。
「うん、有難う」
来年は、自分の力だけで唯湖さんを喜ばせてあげようと、固く決意する僕であった。
「特にここは立派に男の子してるから安心して良いぞ理樹君?」
「あっ、駄目っ、そこは握っちゃらめぇぇぇぇぇぇっ」
「むぅ、なんかムラムラしてきた。良しこのまましっぽりむふふと行こうか」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ」
うん、本当、頑張ろう。
























お囃子・感想などいただけましたら。

おなまえ(省略可)



お囃子!(→盛大)

ぱち ぱちぱち ぱちぱちぱち

よろしければ何か一言!(省略可)





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