幸福
雪の少女の幸福譚
それは水瀬名雪にとって一生忘れられない出来事…
それは相沢祐一22歳の誕生日の時の出来事・・・
祐一の恋人である水瀬名雪は自分の部屋に祐一を招き入れていた。
「名雪、今年の誕生日プレゼントは俺がお前に直接リクエストするって言ったよな?」
「う、うん。」
期待と不安で少し緊張気味に頷く。
「あのな、直球で言うがお前が欲しい。」
「え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「だって、祐一わたしの初めてはあの冬にあげちゃったしそれからだって
いっぱいエッチな事してるし、ま、まさかわたしのお尻の初めてが欲しいの!?
それともわたしにメイド服着せてご主人様とご奉仕いたしますとかそういう事をして欲しいの!?」
「何て事言いだすんだお前わぁぁぁぁ〜〜!?」
途端に顔を真っ赤に染めて勝手な妄想に走り一人暴走まっしぐらになる名雪に祐一絶叫。
「名雪ちょっと待て、俺が言いたいのはそういう事じゃなくてだな…」
「祐一が望むなら応えてあげたいけど、まだ心の準備がえっとね、あのね、うにゅ〜〜〜。」
祐一の否定も耳に入らず一人で勝手に自己完結し頬に手を当てくねくねと奇妙な踊りを踊りだす。
「だ〜も〜、人の話を聞けぇぇぇぇ。」
「ふぇ?わっ?きゃああああああああ!?」
キれた祐一は名雪の膝を抱え込みそのままドラゴンスクリューの要領で名雪をベッドに放り投げる。
「……あれ?わたしどうしたんだっけ?」
「あのな。」
一回転してベッドに着地した後正気に戻った名雪に呆れる祐一。
「とりあえず落ち着いて聞いてくれ、誕生日プレゼントに俺はお前が欲しい。」
「だから、その、えっと、エッチな事じゃないの?」
「お前もしかして欲求不満なのか? 溜まってるならいつでも俺は構わんぞ?」
「わぁぁぁぁぁぁっ、なんて事言うんだよ。いっつもエッチな事したがるの祐一のくせに。」
「…………まぁそれはさておき。」
「さておかないの。」
「と・に・か・く俺の話を落ち着いて聞いてくれ。」
「う〜。」
このままだと会話の無限ループになりかねないので、怒る名雪をなんとか宥めた祐一は表情を改め、名雪に切り出した。
「名雪、一生俺の隣に居てくれ。そして俺を一生お前の隣に居させて欲しい。」
「祐一、それって…」
「お前の思ってる通りで良い。」
「どうにかこうにか就職も決まって後は卒業待つばかりだし、秋子さんや親父達も諸手を上げて俺達の仲認めてくれた。それにさ、何よりも俺があの冬お前に誓ったあの言葉をはっきりとした形にしたいと思ったんだ。」
照れ臭いので横を向きつつ指で頬をかきながら言う。
(全くの余談だが双方の両親の協議の結果祐一は入り婿となる事が決まり、また祐一の父親は『可愛い義理の娘キター』と大喜びで跳ね回り、妻と息子に全力でどつき倒され血の海に沈んだと言うエピソードが有ったりする。)
「まぁとりあえずこれを受け取ってくれ。給料三か月分とまではいかなかったけどさ、それはまた改めて送る。」
名雪に手渡された箱にはシンプルなデザインのプラチナリングが入っていた。
「おかしいよ祐一、プレゼント貰う方がプレゼント贈るなんて。これじゃあべこべだよ。」
名雪は笑顔ではあったがその瞳から涙が溢れてくるのは抑えられなかった。
「ねぇ祐一、わたしが良いって言うまで後ろ向いてて。」
名雪は何かを決意した顔でそう言った。
「あ、あぁ分かったよ。」
真剣な名雪の表情に素直に後ろを向く。
「えっと〜ここをこうして、こうやって、あれ?わっ、ほどけちゃうよ〜。」
それからすぐに衣擦れの音と名雪が何やら悪戦苦闘してる声が聞こえてくる。
「おい名雪、何やってんだよ?」さすがに気になって後ろを向こうとしたが…
「こっち見ちゃダメぇっ。」
「ぶほっ。」
名雪に全力でけろぴーをぶつけられてひっくり返る。
名雪の苦闘はそれから更に10分程続いた…
「ごめんね祐一、もうこっち向いて良いよ。」
「全く、なんだってんだ・・・っ!?」
振り向いた祐一は名雪の姿を見て絶句した。
「どう、かな?」
そこには顔を苺の如く赤くさせた名雪が裸に赤いリボンだけを巻きつけた姿で立っていた。
「な、名雪。その格好は!?」
「これがわたしの返事。祐一にわたしの一生全部をあげる。受け取ってもらえるかな?」
「名雪っ!」祐一は左手を名雪の後頭部に右手を腰に回して激しく口付けた。
「きゃっ、んむっ、ん〜〜〜〜!? やぁ祐一激しっ、ふむ〜、あむっ、ちゅ。」
「好きな女にこんな格好されてそんな事言われて我慢出来るほど俺は人間できちゃいねぇんだ。恨むなら可愛い自分を恨め。」
名雪のあられもない格好にすっかりスイッチが入っちゃったようである。
「そんな事言われてもわたし困るよ〜、だめぇ、むっ、んんんんんむ〜。」
舌の先で舌の先をくすぐられ、更に舌を絡めて引っ張られ反論すらさせてもらえない。
「やぁっ、んっ、あふっ、んっ歯舐めちゃやだぁ、あふっ。」
今度は両方の頬を手で挟み、逃げられないようにしてから、舌で歯の表も裏も一本一本ねちっこくなぶり、頬の内側にも容赦なく舌をはわせ、名雪の口腔内を欲望のままに蹂躙していく祐一に名雪はされるがまま。
「ぴちゃっ、ずずっ、じゅる、くふっ、んっ。」
祐一はとどめとばかりに名雪の唇から垂れた唾液をわざと音を立てて啜り取ってようやく解放した。
「ぷはっ、はぁ〜はぁ〜うにゅ〜。」
顔を上気させ目を潤ませて祐一に倒れ込む。
「名雪、このまま良いんだよな?」
倒れ込む名雪を優しく抱き止める。
「うん。」
潤んだ瞳で名雪は頷き瞳を閉じる。
再び交わしたキスは祐一と名雪の熱くて長い夜の始まりの合図。
それから時は流れて…
「そんな事も有ったんだよね。わたしも嬉しかったからって凄く大胆な事しちゃったなぁ。」
ダイニングのテーブルで椅子に座った名雪は左手にはまっている指輪を眺めながら微笑む。
「ぐがぁ〜ぐぉ〜ぐぉ〜。」
そんな名雪の傍では祐一が床でいびきをかきながら大口開けて寝こけている。
「祐一、ありがとね。わたしの隣に居てくれて、そして、わたしを祐一の隣にいさせてくれて。」
寝こけてる祐一の隣に寄り添うように寝転がって囁き、その祐一の頬に口付ける。
「礼なんて必要ねぇよ、俺もお前と一緒居たかった。それだけだ。」
「わっ、祐一起きていたの?」
急に返事を返されて驚く名雪。
「んにゃ、今キスされてそれから目が覚めた。それにしても唐突だな。」
「うん、プロポーズの時の事思い出しちゃったから嬉しくてつい、ね。」
舌をちょこんと出して笑う。
「名雪っ。」
そう言うなり祐一は名雪の胸に顔を埋めそのままぐりぐりと頭を動かしだす。
「きゃっ、ちょっと祐一ぃっ。いきなり何するんだよ〜。」
じたばたもがくがうまく逃げられない。
「悪ぃスイッチ入っちまった。まぁここ三日ご無沙汰だったんだしさ?」
「もう、まだ明るいのにぃ〜。」
「良いじゃねぇか、秋子義母(かあ)さんも子供達も今日は出かけてて、しかも今日一日戻らない。久々に新婚気分で良いだろ?」
「もう、しょうがないなぁ。」
怒りつつも結局折れた。
「と、言う訳でいっただきま〜っす」
「やぁん。」
名雪はこんな幸福な日常が続く事を最愛の者に求められながら願うのであった。
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