Side [C]
一歩歩く度に、足の下ではカサカサと何枚もの枯葉が砕ける音がする。
私が進級してから半年。廊下の角で、走ってきた先輩とぶつかるなんていう、漫画でしか見たことのないような出会いをしてから一年。
私は自分の人生で初めて、恋文を書いた。
今朝はいつもよりかなり早起きをした。そうでもしないと、先輩の下駄箱に手紙を入れることが出来ないから。でも、早起きをしたのは手紙を書いてしまったという興奮が冷めなかったからかもしれない。
衣替えで冬服になったばかりの私たちには丁度良いくらいの朝の寒さ。私はほとんど生徒の歩いていない通学路を足早に歩いていく。
誰もいない昇降口。寂しい感じを受けながら、先輩の下駄箱を探す。胸の鼓動が体中に響いている。
あった。
私は胸の鼓動に邪魔されながらも通学鞄から手紙を取り出した。震える手で手紙を下駄箱に入れる。手紙を入れた途端、顔が赤くなっていくのが分かった。
私は走って自分の教室を目指した。
授業の内容は覚えていない。考えるのは放課後のこと、先輩のこと。先輩はちゃんと来てくれるかな?
放課後までの時間は、長かったのか、それとも短かったのか。先輩を待つ今となっては思い出せない。
この場所、ちょっと分かりにくかったかな? 寝癖とかついてないかな? 先輩の前でちゃんとお話出来るかな?
あっ、先輩だっ。
胸の鼓動を抑えようと深呼吸。でも、そんなことではこの鼓動は止められない。
私は、恐らく生まれてから最も大きな勇気を出した。
「あ、あのっ、先輩っ」